ツー ツー ツー


突然途切れた携帯を片手に、日吉は呆然としていた。

(…泣いてた???)


どうしたんだろう。
何かあったんだろうか。(身内に不幸とか)


だいたい、何があったにしてもいきなり電話を切られたのが判らない。
話してくれてもいいのに。
それとも電波でも悪くて切れてしまったんだろうか?
そう思ってかけ直してみるけど、留守電に繋がるばかりで慈郎が出ることは無かった。



いてもたってもいられなくなって、とりあえず家を飛び出す。
上着をひっかけながら、携帯のメモリダイヤルを回した。

―誰かのところにいるかも知れない。








ティアドロップス     Act.4








プルルルル…

シンプルな携帯の着信音で宍戸は目を覚ました。
最も、それは彼の携帯ではなく彼の恋人のものだったが。



「…もしもし」

低い声で跡部が電話に出る。


『部長ですか??日吉です』
「…どうした?」
『あの…慈郎さん…慈郎さんそっちに来てませんか!?』

いつもの日吉らしくもない切羽詰った声。
跡部は瞬間的に悟った。

(ふぅん、こいつか…)


「ジロー?知らねえな」
『…そうですか』

「…日吉」

それじゃあ、と言いかけた日吉を跡部の声が遮った。

『…はい?』
「…泣かせたら殺すからな」

それだけ言い捨てて、跡部は電話を切った。
(最も、もう泣いているかも知れないし既に半殺しは決定だが)



「…おっかねぇの」

ベッドの上の宍戸が楽しそうに言った。

「そう言えばジローは?相手判ったの??」
「…ああ、たった今な」

跡部は怖い顔で宍戸を見た。
物凄く機嫌が悪そうだった。


「宍戸」
「ん?」
「俺が日吉を殴りそうになったら全力で止めろ」
「ジローの相手って日吉?なんで止める必要があんの?」

跡部はちらりと宍戸を見ると、殺したらまずいだろ、と言った。


『宍戸とシタのって付き合ってから?』

あの日の質問の意味がやっと判った。
だから、ジローのやつあんなこと聞いたりしたのか。


「あの野郎…ジローをもて遊びやがって…」
「もて遊んでるって決まったわけじゃないだろ」
「付き合ってないんだったら理由はどうあれもて遊んでることになるんじゃないのか?」
「付き合ってないんだ?」
「…ジローはそう言ってた。」


宍戸が、お前意外と真面目だよなーとか何とか言いながらまた寝ようとしたので、跡部は彼の髪の毛を掴んで寝るな、と言った。

「ええー?!なんで?」
「ジローを探しに行くからお前も付き合え」

宍戸はあからさまに嫌そうな顔をしたが、跡部は無理矢理彼の布団を剥がした。

「俺が日吉を殴りそうになった時止めるのがお前の役目だ。来い。」
「ほっといてやれよ〜両想いなら何とかなるだろうし、違ったらそれはそれで…」
しょうがねえだろ、と言いかけて止めた。
跡部が物凄い形相で睨んでいたからだ。


「…お前はジローを溺愛しすぎ。」
「ヤキモチなら後で幾らでも聞いてやる。とにかく今は来い。」

宍戸はため息をついてベッドから起き上がった。




















「…?」
一方の日吉。
跡部の言っていた意味が判らず首を傾げる。



『泣かせたら殺すからな』


(…俺が?)

(…誰を?)


泣かせた?
小学生じゃあるまいし、誰も泣かせた覚えは無い。



―そう、誰も…






『…逢いたい』

途端、何かに撃たれたようにさっきの慈郎の声が頭に響いた。




…逢いたい

…逢いたい

…逢いたい




たった一言だけ呟くように囁かれたその言葉が頭の中を廻る。




(…慈郎さん?)




(…俺…?)







跡部は、幼なじみである慈郎をとても大切にしているようだった。
そんなことは見ていれば判った。
跡部は基本的に他人には無関心な人間だ。
その彼が泣かせたら殺す、とまで言うなんてどう考えても慈郎のことだとしか考えられない。
(宍戸さんは…跡部部長は基本的にあの人のことは放置だから)

でも自分には、慈郎を泣かせる理由がない。
思い出してみる限り、昨日はいつも通りだった。


(…嫌だったのかな、俺とするの)


(…でも)


自惚れてたかも知れないけど、嫌そうには見えなかった。
(嫌だったら最初に誘った時に逃げてる筈だし)
ただ思い出すのは笑顔ばかりで…
けど、どうしてか偶に見せる切なげな顔。
本当はずっと気になっていた。

(…やっぱり、アナタは隠しごと出来ないタイプですよ)


いつもお日様みたいに微笑うヒト。
泣きたい時に泣いて笑いたい時に笑うヒト。
…判りやすいといえばそれまでだけど。

本当は…
どちらかといえば心当たりがあるのはこちらの方。
尋ねてみたことはないけれど。



(俺…?)



最初にする時に、聞いたことは聞いた。
恋人とか、好きな人とかいないのかって。

『さっきも言ったでしょ、そんなのいない』

慈郎は真顔で答えた。

『好きになったことなんてない』


…あの時は確かに、それが本当だったのだろうけれど。


嫌われてはいないと思う。自惚れてると思うけど。
だとしたら、やっぱり。



(…慈郎さん、俺のことで泣いてるんですか?)

(…俺のことを想って?)

(…俺の為に涙を流してるんですか?)





つい1ヶ月ほど前にたった一度だけ見た、彼の泣き顔を思い出す。


(あの時も泣いてましたね、慈郎さん…)



最初にそういうことになったあの日。
滝や自分の片想いをほんの少し聞いただけなのに、アナタは泣いてた。
優しいヒトなんだと思う。きっと。
他人の失恋なんかで涙を流せるくらいに。
だから自分を突き放せなかった。
いきなり抱きたいなんてふざけたことを言ったのに、それでも受け入れてくれた。

あの時は当然だけど、まさか慈郎が首を縦に振るなんて思わなかったから。
ちょっといじめてみたくなっただけだったのに。




(…まさか好きになってくれるなんて思わなかったんです)


あんな八つ当たりみたいに彼の身体を求めた自分のことを。
ファーストキスも何もかも、慈郎の初めてはことごとく自分が奪った。
不安そうに自分を見上げるその仕草を今でも覚えている。
出来るだけ優しくしたつもりだけど、痛くなかったわけなんかないのだ。




(あの時は確かに八つ当たりみたいなもんだったから、言い訳はしません。…でも)


…でも今は。
あの時みたいにアナタが泣いているのだとしたら。
あの大きな瞳から宝石みたいに大粒の涙を零しているんだとしたら。




(…抱きしめたいと思います)


(勝手なやつだと思うかも知れないけど…)



















(それでも俺はアナタのこと…)



他の誰の為でも誰の代わりでもなくて、ただアナタのことを…








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今更なんですけど、この小説矛盾だらけだということが発覚しました(おい)
まず、
12月とかもうとっくに3年生は引退してるはずだから!なんでまだ部活やってるんだw
あと、何故か宍戸の髪が長いまんまw
あ、でも
こっちはワザとね。(おい!)え、帽子の人?誰それ。(貴様のようなやつは死ぬべき)
それから1話目と2話目のギャップがありすぎだから!w
そもそも「心変わり」なんて難関なテーマをこんなショボい話で書こうとするあたりが間違ってる(真顔)
心変わりを書くには単行本3冊分くらい必要なのに(つД`)←
天ないのように…
だいたい
たった1ヶ月の間の話というのがもういいわけの余地すらないというか、この話を見てると、昔どっかで読んだ
ホモカプ小説に見せかけて実は夢小説だったというとんでもない夢小説ばりの無理矢理な苦しさを感じる…
だいたい
12月にシャツのボタン全開でソファに寝てるバカがいるわけない!Act.3の話)
まぁ宍戸だからいいような気もするけどw(あんた宍戸をいったい何だと)

まぁ心変わりとは、例えるならつまり
ジャンル移動みたいなもんだと思うわけで、(何なのそのたとえは…)
前のが嫌いになったというよりはただそれよりも好きなものが出来たというか。(そんなありきたりな…)
でもぜんぜん上手く書けません(つД`)なのでもうちょっと引っ張ります(オイ)でもいちおう次で終わる予定…(は未定)

てゆうか、日吉がジローのことを「
芥川さん」と呼んでいたことを今更知ってしまった(オイ)
ま、まぁ
見なかったことに(きっぱ)
だっておおとりさん(誰)がジローさんって呼んでるからてっきり日吉もそう呼んでると思い込んでいた(阿呆)
だって芥川さんって呼びにくいでしょ!!(逆ギレ)
つかジローを書く以上はうれC〜!とか書かないとダメなのか…?か、かけない(あんたはジローに夢の見すぎ)

つうかこの小説は何だか
妙なキモさがありますね…跡宍にもチョタサカにもないキモさだ…
最近こういう昔の私が好きそうなテイストの話は書いてなかったからな〜_| ̄|○
とりあえず、跡宍は溺愛じゃないのが萌え。(だからって
放置よわばり…)