「判ってるだろーがレギュラー落ちだってよ、宍戸」


携帯電話を片手に、ついさっき監督から命じられたクビキリの言葉を告げる。
極めて軽く言ってやるのは、一応敗者の気持ちを気遣ってのことだ。
氷帝の部長はこういう役目も出来る人間でなければならない。
今までも幾度となく、この死刑の宣告を行って来た。
今日もそれと同じ、見慣れた場面の1コマ。
―相手は宍戸。




「…」

宍戸は心底鬱陶しそうに立ち上がると少しだけ跡部に視線を送って、何も言わないで去って行った。
負けず嫌いで、誰よりも正レギュラーに執着していたのは彼だったので、それは酷く予想通りの反応だったけれど。
ただ、人でも殺しそうな目で睨まれて少しだけ驚いた。



(…あんな目も出来るのか)


もっとも気合だけで実力が埋められるなら誰も苦労はしない。
それだけで勝てるくらい全国区の橘は甘くはなかったということだ。
ヤツと当たったのは不運だったと思うけれど同情してやるつもりはない。
宍戸も同情などされたくないだろうし、橘に勝てるだけの実力が無かったのは事実だから。



レギュラー落ちを言い渡した時の反応は様々だった。
涙を流す者、無表情な者、青くなる者、憤る者。
色々な反応を見た。
中にはもうそれっきり部活に現れない者もいた。
―宍戸もそうかは知らないけれど。


跡部跡部、と目を輝かせてくるくると笑ういつもの宍戸が妙に懐かしく思えた。
何故だか胸が痛んだ。
しつこいようだが別に彼を可哀相だと思っているわけじゃない。
ずっとこの役目をして来て、そりゃあそのたびに気まずくて後味の悪い痛みが跡部の胸を刺したけれど。
今までのそれとも微妙に違った、不自然な痛みだった。







執行猶予







「おはよ!跡部!!」


後ろから背中を叩かれてはっとして振り返ると宍戸が立っていた。
その笑顔はいつも通りで、昨日あんな表情を見たことがウソみたいだ。
むしろ、いっそ橘に負けたことすらも夢か幻みたいで―
わざと明るく振舞っているのか、それとも本当に一晩で立ち直ったのかは知らないが、とにかく宍戸は元気だった。


「何だよ、幽霊でも見たみたいな顔して。俺が落ち込んでるとでも思った?」
「…ああ」

跡部が正直に答えると、宍戸はちょっと驚いた顔をした。


「…凄い顔してたからな」

鬼みたいだったぞ、と言いかけてやめた。
いつでも試合をしてる時の宍戸はあんな目で敵のコートを殺しそうな勢いで睨みつけていることを思い出したからだ。
―そう、あれは見慣れた表情だった。
どうしてあんな不自然さを感じたりしたんだろう。
どうして―‥


宍戸は自分では判っていないようで、ちょっと首を傾げてそう?と言った。

「そりゃ負けたのはショックだったけど。直ぐ挽回するし」
宍戸は顔を上げてキッパリと言った。

「頑張るのは勝手だがな。…監督は負けたやつは」
「…2度と使わない」
跡部の言葉は宍戸に遮られた。


「判ってる」

でも、と宍戸は言った。


「氷帝は俺なしじゃ勝てねーし」


あまりの傲慢な台詞に流石の跡部も驚いた。


「へぇ…昨日の今日で凄い自信だな。辞めんじゃねぇかと思ってたけど」
「今更辞めても行くとこねーじゃん」
「…なんでテニス部入ったんだったっけ」
「女にモテるから」

宍戸はきっぱり言った。


「…昨日の惨敗で数少ないお前のファンが全滅したかもな」
「いーよ」
「…」
「今は跡部がいるし」

何言ってんだ、と言うと宍戸はきらきらと笑った。
彼の後ろから真夏の太陽が照り付けて、逆光が眩しかった。本当に眩しかった。
―いつもの宍戸だった。



(…そうか)



いつもいつでも、彼はどんなに試合中残酷な表情を見せても。
勝ったあとに自分を振り返るその時は絶対に笑顔だったから。
今みたいにきらきら笑っていたから。



(―「俺」をあんな目で見やがったのは初めてだったんだ…)



他の誰でもなくて、この自分を。
ネットを挟んで対峙する時でさえ、彼は自分が相手の時だけはあんな目はしなかったような気がする。
むしろいつも嬉しそうに、いつものあの笑顔で跡部跡部、と笑っていた。



「跡部?」

黙り込んだ跡部の顔を宍戸は下から覗き込んだ。
黒くて長い髪の毛がすぐ目の前で揺れた。


「…放課後相手してやるよ」
「え、マジ?!」

宍戸はあからさまに嬉しそうな顔をした。

「跡部様直々にお手合わせ頂けるなんて久しぶりーv」
「ウルセーよ。どうせボロ負けなんだからそんなに喜ぶな。レギュラーに戻る間も無く自信粉砕だな」
「ンなことねーよ!俺だってお前とそこそこやれるもん!」

ギャーギャー喚く宍戸の額をピン、と跡部は指で弾いた。




「…だったら、あの時の目でかかってきな」



「?」

あのときっていつだよ、と尋ねる前に跡部は小走りで自分の教室の方へ向かった。


「幾ら俺様が好きだからって、殺す気でやんないと勝てるもんも勝てねーぞ」
「ちょっとタンマ…ソレって勝てたら交際OKとかそういうこと!!?」
「どこをどう取ればンな話になんだよ。それ以前にお前が俺に勝つことはありえねえっての」
「それってやっぱOKってことなんじゃねえの!?なー、跡部!!!」


ばたばたと慌しく追いかけて来る宍戸をテメーの教室はあっちだろ!と追い返して。
ありえねぇけど本当に舞い戻って来たら賞賛ものだな、とかぼんやり思った。



―だけど。






(…俺は)




(あの目で睨まれて、嬉しかったのか哀しかったのか)




(―どっちなんだろうな…)











あの真夏の太陽みたいな彼と
射殺さんばかりにギラギラした彼と
自分はいったい、どちらを愛しているのだろう



説得力ないですが、私は鬼みたいな宍戸が好きなんですよ…_| ̄|○
鬼の子が好きなんですよ…(宍戸を鬼の子とか言ってるのはお前だけだよ)アイツはボンボンの悪魔ですよ(言いすぎ!Σ(゜Д゜;))
宍戸は庶民派って人が多いけど私は宍戸も十分ボンボンの類だと思います。そりゃ跡部と比べたら庶民だけど、
公務員の子だし(そこかよ)
長髪の頃なんてやつはアホボン以外の何ものでもありませんよ(黙れ異端人)
明らかに調子乗ってたし自分は跡部と同じくらい天才だと思ってそうな勢いだったし世間知らずっちゅーか何ていうかついでに自分大好きっ子だし(とりあえず黙るべき)
あんな髪切りパフォーマンスに踏み切る時点で自分大好きっ子以外のなにものでもn(黙れ異端人)
でも
わたしはむしろそんな宍戸が好…ゲホゲホ(そんなこと言ってるの明らかにアンタだけだから!!!)
人(っていうか滝)の痛みが判らないボンボンな宍戸萌えー(そんなこと言ってるの明らかにアンタだけ以下略)
よりによって
氷帝でいちばん優しそうな滝(←同人による思い込み)あんな鬼みたいな顔で蹴落とした宍戸萌えー(そんなこと以下略)
わたしはアレで惚れたと言っても過言ではなく。(真顔)
↑つーかアンタが跡宍に惚れたのは同人からだから!宍跡読んでからだから!!明らかに過言だから!!
むしろ
宍戸が、「氷帝で一番優しい」から滝を蹴落とした確信犯だとしたら(つまり滝が許してくれる自信があった)物凄く萌えるんですが…!
(そんなミョーな深読みしてるのもこんなわけのわからないことを言ってるのも明らかにあんただk以下略)

つうかわたしは、原作良く知らなかった頃、宍戸は橘に負けてすぐ髪の毛切っちゃったと思い込んでたんですよ。
でもあの子、切らなかったでしょ。(何故語りかける)滝を負かしてそれでも駄目だった時にようやくパフォーマンスみたいに切っちゃったでしょ。(パフォーマンス扱い!Σ(゜Д゜;))
あの傲慢さ…!!(!)←貴様の萌えポインツは良く判らん
やっぱりやつは鬼の子だった!と私はミョーに感動しましたよ(そんなこと言ってるのは以下略)

とにかく鬼みたいな宍戸が好きなんだという話。ああ、これ跡部と宍戸がまだデキてないときの話ね。デキてないというかデキそうでデキていない時期というか(真顔)
色々書いてるけど、私的には
跡宍がいざデキたのは青学戦以降だと思うのですよw それでも宍戸は長髪だけどね!ははっ!(時間軸無視しすぎ)
つか
宍戸は手塚と戦ってる跡部を見て惚れた(というか前から好きだったけど初めて気持ちを確信)説推奨
跡部の方は前から好きだった設定。(なんで)彼は宍戸みたいにアホじゃないので自分の気持ちくらい判ってまちた。(まちたって何なの…)
でもまあ勿論一生黙ってるつもりでむしろコクって来た宍戸をフってみたりとか(at leastのあとがきと以下同文)
つか42の時も同じことを言ったと思うけど跡宍はお互いに別の光を見てるっていうか(電波キター)
宍戸があんまりにもバカなので気付かないだけで、跡部はちゃんと宍戸のこと心配したりしてるっていうか、それでも宍戸は自分ばっかり跡部を好きなんだと思い込んでいるというか(意味不明)
部員は阿呆ばっかりで(オイ)跡部は氷帝でいちばん苦労人だと思います。跡部俺様に見えるけど本当はすごく部員思いだし気苦労多そう(つД`)
がんばれあとべさまー!!海馬さまを応援する子供のような口調で←かなり判りにくいが遊戯王を好きな人だけわかってくださいw)
つまり
表向きはぜんぜん跡部が宍戸を好きなよーには見えないわけね!!
こここだわりね!!(テストには出ません)
でも凄く好きなわけね!!でも見せないわけね!宍戸がそれに気付くことは
許されないわけね!(そこまでΣ(゜Д゜;))
ここもこだわりね!!!!(テストには出ま以下略)
つか私はいったいどんな夢を跡宍に見ているのかという_| ̄|○ こんな変なテイスト…_| ̄|○(変すぎ)

そうそう宍戸がテニス部は女にモテるとか言ってるあれは20.5巻の氷帝学園特集?で
いちおうそう書いてあったので。
氷帝でカッコいい男の子が多い部はテニス部だって書いてあったので。(真顔)
ぜったいウソだろとか思うけど
まぁ公式設定を信じてやって、宍戸は女の子に人気があると聞いてテニス部に入ったことになってます。(どうでもいい設定)
でも実際に宍戸みたいな中学生がいたら絶対に女の子にはもてない気が…。だってあのロンゲじゃ(以下自粛)←お前さっきから宍戸ファンに謝れよ
まぁわたしはそのロンゲにやられた人種ですが。(情けなッ!)わ、私…とにかくあの髪型に弱くて…_| ̄|○ クソッ自慢の髪め…!!

つか最初この話は既にデキてるふたりで、ベッドの中で宍戸があとべ、あとべ失望した?ねぇ失望した?とかしつこく聞く面白くない話だったんだけど本当に面白くなかったのでやめました。
むしろ宍戸だったら負けたら鬼みたいな顔してるだろ、と。原点に戻らねば。私は阿呆な宍戸ばかり書いているけど鬼の子が好きだったはず!!!
それならいっそデキてない頃の話にしよう!というわけでこういう話になりました。でもただの宍跡に見えるという罠_| ̄|○ ま、宍跡大好きなので気にしない(しろよ)
つか
要は宍戸に睨まれてなんとなく傷ついた跡部の話というか_| ̄|○ …死ーン。

タイトルは最初死刑執行か死刑宣告にするつもりだったけど、宍戸死刑なんてダメージぜんぜん受けてないのでこっちにしました。
レギュラ落ちしてた時ってのはまさに宍戸にとっては執行猶予みたいなもんだと。(そうか?)
す、すんません語りが長くて…(長すぎ!)跡宍のことになると頭がおかしくて(もともとという説有力)
ものすごく屈折した愛情ですが(愛情というかテイストが屈折しているよ!)、わたしは跡宍のことオカしくなりそうなくらいは好きなんですよ(すでにあんたはおかしいよ)