試合が終わった後芝生に寝転んで、青い空を流れる雲を見ていた。
隣でゼイゼイ言っていた切原は、ペットボトルの水をぐいっと流し込んで1人言みたいにボソっと言った。


「淋しいか…?」
「…え?」


あんまり呟くような小さな声だったので危うく聞き流すところだった。
けど、語尾が上がっていたのでたぶん自分に聞いているんだろう。






I wish




「…何がッスか?」
いきなり主語も無しで聞かれても意味が判らない。

「切原さん、英語だけじゃなくて国語も苦手だったんスか?」


切原はちげぇよ、とまた小さな声で言うと、とても言いにくそうに口を開いた。


「…お前んとこも今部長いねーんだろ?」


(ああ…)


「部長がいなくて淋しいかってこと?」
「…何度も言わせんなよ」


(…アンタの聞き方がヘタなだけでしょ)


切原はもういいよ、と言って目を伏せた。
聞きたそうで、でも言いにくそうで、質問の割には何か妙な態度だなぁと思う。
瞬間、越前はピーンと来た。


(ふぅん…)



「俺、アンタは」

「あの怖い副部長かあのガムの人とデキてるんだと思ってたけど」


切原は顔を上げると、何の話だよ!!と怒鳴った。


「本命はそっちだったんだ?」


切原ははっとしてたちまち顔を赤くした。
びっくりするくらい判りやすい。


「何言ってんだ!ただ部長のことについて聞いただけだろ!」


付き合ってらんねぇ、と言って立ち去ろうとする切原の手を越前は無言で掴んだ。


「何だよ!!」
「まぁまぁ、俺さぁ…」
「何だよ!!!」
「テニスも才能あるけど、ソウイウコトに関してはもっと才能があるんだよね」
「…」

切原は炭酸が抜けたコーラのような表情をした。


「まぁまぁ切原さん、そう焦らないで座って」
「…」

切原は越前に促されるまま、また元のように芝生に腰を下ろした。


「部長がいなくて淋しいかって話だったっけ?」
「…」
「そりゃあ淋しいよ、部長は俺のオンナだもの」
「…!!!?????」

切原はあからさまに驚いた顔をして大きな目を丸くして越前の顔を見た。



「…知らないで聞いてたんだ?てっきり知ってて聞いて来たんだと思ってたけど」
「…」
「でも考えてみたら、俺アンタんとこの部長って顔も知らないんだよね。どんな人?」

あの副部長×1.25みたいな人?と聞く越前に、切原は眉を顰めて綺麗な人だよ、と言った。


「…お前んとこでいちばん近いなら不二さんかな」
「へぇ、意外」
「…綺麗で、強くて、優しい人だよ」
「ふーん…想像もつかない」

切原ははぁ、と溜息をつくと合宿中は見舞いにも行けないんだよね、と言った。
とても遠い空の下にいる離れた恋人もこんな風に自分を想ってくれているんだろうか。



「…まぁ、その部長も」
「…」
「アンタが赤目を克服しただけでも喜んでくれるんじゃない?」

さぁな、と切原は言った。


「…俺は」
「…」
「あの人が治ってくれるんだったら、俺なんかどうなったっていいんだよ」
「…だからってアンタがどうにかなったらその人が治るわけじゃないでしょ」
「…」
「アンタみたいに刹那的な人は嫌いじゃないんだけど」
「…」
「もうツバつけられてて残念だな」


越前は切原を見てクスリと笑った。
切原は彼が何を言っているのか判らないようで、越前をチラリと見て首を傾げた。
そんな彼にすすと近づくと、越前は彼の耳元で囁いた。


「…ところで、アンタ受だよね?」
「…!」

切原はまた顔を真っ赤にして越前を突き飛ばした。


「…な、何言って!!」
「しかも、数はこなしてない」
「…」
「当たり??」


切原は赤い顔をもっと赤くして、今度という今度こそ越前の手を振り切って猛ダッシュで走り去ってしまった。



「…初々しい反応。」

おおかた付き合い始めてすぐ、愛しいその部長と病気で引き裂かれてしまったってところだろう。
同じく引き裂かれてしまった身として気持ちは痛いほど良く判るけど。





「越前」
お疲れ、と今は手塚の代役をしている大石がいつの間にか後ろに立っていた。

「…大石先輩、立海の部長の写真とか持ってる?」
「立海の部長…幸村の?どっか雑誌に載ってたような気もするけど…何で急に?」
「…別に。あの立海の部長ってどんなヒトなんだろーと思って」
「うーんチョット待ってろよ…?」

人のいい大石は資料集めに宿舎の方に駆けて行った。




(…部長とデキてるなんて思ってもいなかったけど)


淋しい、淋しい、淋しい―‥


彼がいつも全身で訴えているのはそれだったのかと、越前は妙に納得した。



「…お待たせ越前!」
大石があっという間に手に何冊か雑誌を抱えて戻って来た。
ゼイゼイと息を切らせている。

(大石先輩、走って来たんスか…;)


「ホラ、幸村はコレだよ。去年の写真だね」

(へぇ…)


ふわふわの髪の毛に大きな瞳が印象的な、絵に描いたような優男だった。

(きれいで、強くて、優しい人、ね…)


「…随分綺麗な人ですね」
「外見はこうだけど、幸村は恐ろしい男だよ」
「まぁそりゃあそうでしょうけど」

大石は次々とページを開いては越前に見せてくれた。



「…これ、切原さんッスね」

その中の一枚に、彼が部員たちと一緒に写っている写真があった。
今より一回りも二回りも幼く見える切原は猫がじゃれるみたいに幸村の腕に絡み付いて向日葵みたいに笑っていた。


「そうだね、こりゃまた随分子供だなぁ」
「あのヒトはもともと子供みたいなもんでしょ」
「…越前;」


この1年生にかかると誰でも子供だなぁと大石は思った。


「…本当どうしたんだ?急に立海の部長なんて」
「次に戦うのはこのヒトかも知れないッスからね。リサーチっスよ、リサーチ」

前調べなんて全くしないタイプのくせに、と思いながら大石は苦笑した。










越前の姿が見えなくなるところまで逃げて切原は足を止めた。


(恐ろしい1年…!)

まさかあんなカオしてあの手塚を手中に収めていたなんて思いもしなかった。


(しかも俺と部長のことを見抜くなんて…!)




『…まぁ、その部長も』

『アンタが赤目を克服しただけでも喜んでくれるんじゃない?』


(…)



俺はどんな赤也のことも愛してるよ、と口癖のように呟く優しい人の顔が目に浮かんだ。



(…部長、もしかして)

(…俺の赤目のこと、気付いてたのか、な)




(…まさか、ね…)




試合の後の心地よい風が切原の頬を通り抜けた。
あの1年生に初めて負けた時、泣きそうになりながら病院へ走ったことを覚えている。


あの時はただ怖かっただけだった。
今は…





「切原さん」

撒いたと思った1年が背後に立っていて、切原はびっくりして振り返った。


「…気配を消して背後に立つなよ」
「見ましたよ、コレ。1年の時スか?可愛いっスねー」

越前はさっき最後に見た、切原も一緒に写っている写真の記事をひらひらと振った。


「…部長さん、ホントに綺麗な人ッスね」
切原はプイと横を向いて、当然だろ、と言った。


「…まー、そんなにカッカしなくても」
「…」
「そのうち元気になりますよ、その部長」
「…ケンカ売ってんのか?」
「…一応、元気づけてるつもりなんスけど」


そりゃどーも、と切原は言った。

「お前の部長も、そのうち帰って来るっショ」
「もしかして俺のこと慰めてくれてるつもりっスか?」
「1年に元気づけられてるよーじゃエースの名が泣くからな」

そう言って切原は笑った。


(ふーん…笑うと可愛いのに)



「…でもお前、なんで俺と部長のこと判ったんだ?」
「…バレバレっすよ、切原さんの態度」
「…でも…なんでそれで回数まで」

ああ、それは、と越前はニヤリと笑った。
少し背伸びして切原の耳にフッと息を吹きかける。
切原はギャッとか言って飛び上がった。


「あんまりこういうことに慣れてないみたいだから」
「…越前、テメェ〜‥」

越前は舌を出して当たりでしょ?と言った。


「うるさい!待て!このやろッ」

切原は越前を捕まえようと手を伸ばす。
越前は笑いながら、切原さんかーわいい、と言って逃げた。
更にそれを追いかける切原。
折角引いた汗がまたぶり返しそうな暑い夏の日。






「…平和ッスねぇ」
「ほーんと。ネコがイチャついてるみたいだにゃー」
「…(ネコはお前だろっ!)」
「赤也はいつも年上にばかり囲まれていたからな、弟みたいで嬉しいんだろう」
「…そうかなぁ(苦笑)」




どうでもいいけど、裏と表といい、性格といい、そして6歳児なところといい、赤也はまんまマリクですね(真顔)
そうだ、海馬っていうよりもマリクだね、あの子。(真顔)
まぁどっちでもいいけど。(オイ)私が好きなわけだw 昔の私の血が騒ぐw

つか何が言いたいのかすら良く判らない小説でスイマセン。(最悪)
アニプリのあの合宿の越前と赤也の試合の後くらいだと思って下さい。
アニプリ見てない人はゴメンなさい。ビデオかDVDになったらソッコー見た方がいいです。赤也受冥利に尽きるよ(ノД`)(意味不明…)
とりあえず赤也と越前の組み合わせも結構好きですw 赤リョは嫌いですが今は赤リョも大好きですよw
てかリョマたんは気の強い子が好きなので(決め付け)、赤也は結構越前のストライクゾーンだと思うw
私は本当は、リョ塚よりもリョ跡とかの方が好きなんだけど、この小説ではリョ塚にしておいた方が都合がいいのでリョ塚にしました(オイ)
つか私手塚受ってあんまり好きじゃないんですが…ま、いいか。(オイ)
つか別にこの小説だったらぜんぜん越前受でも構わないんだけどね。でも相手が手塚だし…。まぁどっちでもいいでしょ。
受け攻めはもうどうでも…(また始まった)つかどっちにしてもイマイチ萌えない
とりあえず越前にパシられてる大石っていったい…_| ̄|○
つか私からすればもはや中学1年も2年も3年も変わらないんだけど_| ̄|○ 当人たちにとっては全然違うんだよね。あの感覚懐かしいw
まー中1って小学生みたいなもんだからなw 考えてみれば犯罪_| ̄|○

ちなみに最後の会話は上から
桃、菊●、宍戸さん(あえてさんずけ)、真田、不二 です。(激どうでもいい)

つか越前は中学生らしくじゃれたりとかしなそうな気配ですが、いいじゃんw(オイ)
中学生は中学生らしくじゃれついてもらわないと…(何)
つか越前は
気配を消して背後に立つくらい、絶対出来るよね。
念の基本←ハンター)があの子に出来ないわけはない(真顔)
あんな神業を多数使いこなしてるくらいなんだから…(遠い目)

ていうか
>炭酸が抜けたコーラのような表情
ってどんな表情だよと小1時間。
気が抜けた表情ってことだけどね…ってギャグかよ!!(ひとり突っ込み)
ついでに
>あの1年生に初めて負けた時、泣きそうになりながら病院へ走ったことを覚えている。
ってのは最初に書いたこの小説のことねw

つかまたタイトルが中途半端ですな…ま、いいか…この小説自体がかなり中途半端だし(死ぬべき)
これそんなに明るい話でもないし(そうか??)

つかゆっきーが赤目のこと気付いてないとかアリエナーイ!!赤也…・゜・(ノД`)・゜・
ま、基本は気付かれてないと思ってる赤也たんです。(何)
ああもう何度も言うけど幸赤は奥が深すぎる…!!!
文才のない自分が憎い…言いたいことが上手く書けません。
あーあ、私も
無我の境地に辿り着かないかなぁw (むしろ辿り着いたらつまりパクリになるという罠w)

■追記
あーこんなんも書いたなぁw 話は結構気にいってるんだけど…アハハ…
しかもこの話を書いた後すぐ手塚がコーチとしてわざわざ合宿にやって来た罠_| ̄|○