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「いちご〜、俺が残してたチョコ食べた?」
朝食の後、虚が冷蔵庫を開けて何やらゴソゴソ探しながらそんなことを言った。 恋次も甘いものは好きだけど和菓子の方が好みだし家の中に放し飼いにしてある小さなペットの虚なんかが冷蔵庫を開けてかじることもあるけれど、今日の場合は食べたのは自分だ。
「あ、夜中腹減って食っちゃった。でもまぁまた出せばいいじゃん」
精神世界は何よりもこれがいちばん便利で―食べたい時に食べたいものを出して食べられる。もっともこの子は精神体であるし自分も今は似たようなものだから、厳密に言えばたぶん実際に食べているうちには入らないのだろう。もっとも精神世界でそんなことを言っていたらキリがないのでお互い気にしない。
毎回完成品を出すのも味気ないので、材料を揃えて作ったりもする。だが料理をするのは自分(か恋次)だけだ。この虚はたまに包丁を持ちたがるものの(やはり刃物の類いは好きらしい)自分の指を切るだけで料理になりはしないから。
「ていうか、新しいの出せば良かったのに…わざわざ俺の食べかけなんか食べなくても…」
虚は気恥ずかしいのか、少し頬を染めた。
「そんなこと気にしなくていいじゃん、付き合ってるんだから」 「別に…いちごがいいならいいんだけど…思いっきりかじってたから…」
こういうことを少女みたいに気にするところも可愛いなぁと自分は思っている。
「いいっていうか、俺はどうせ食うならおまえの食べかけの方がいいし」 「えっ…そうなの?」 「そりゃそうだろ、男なんだから」 「いちごはそんな好きな子の笛舐めるようなタイプじゃないでしょ!」
一体どこで覚えたのか疑問に思うような例えを持ち出すと―虚は自分が食べたものと同じ板チョコを出してぱり、とかじった。
「…おまえ、朝から飯食った後にチョコとか良く食えるな」 「だってゴハンの後はデザート欲しいじゃん。」
虚は平然と言ってパリパリとチョコをかじった。 平日はいつも朝まで一緒に眠って、朝になったら一緒にご飯を食べてから戻る。 遅くまで行為に熱中すると爆睡している時もあるので―そういう時はこの子の分を作り置きして帰るけれど、基本的には眠い目を擦ってちゃんと自分が向こうに戻るのを見送ってくれる。(その後寝ているようだが) ちなみに休みの日ならそのまま一日中一緒にいたりする。(だが死神代行の仕事に戻らされたりもする)
「プリンでもいいんだけど…やっぱりチョコがいいな」
真剣な顔をしてそんなことを言っているのでちょっと笑ってしまう。
「…?なんで笑うの?」 「いや…俺と好きな食い物が一緒だなぁって」 「当たり前だろ、前からそうじゃん」 「そうだよな、飯でもめたことないもんな。なんか嬉しいなこういうの…」 「?」 「うまく言えないけど…おまえが俺で良かったなぁって。」
性格なんかは違うけれど味覚はまったく同じようで―自分が好きなものはこの子も好きだし、この子が好きなものは自分も好きだ。 相手が自分自身じゃなければ、こんなことは普通ありえないだろう。
「昔はおまえが俺だって…そんなことで戸惑ってたのがバカみたいだな。そういえばおまえの感じるところは全部わかるし―ってこれは関係ない気もするけど」 「いちごこそ朝っぱらから何言ってるんだよ、バカ!」 「おまえみたいにかわいい子が俺なんて変な感じだけど…やっぱり嬉しいな」
テーブル越しにチョコをかじっている虚を引き寄せてキスをする。チョコレート効果で当然ながらこの子の口唇は死ぬほど甘かった。―まぁチョコは自分も好物なので悪くない。これも自分自身だからこそだ。 だが虚の甘い口唇をゆっくり味わっているわけにもいかなかった。
「あ、やべ!こんな時間だ…」
―行き来がしやすいようにこの家の時計は全て現実時間に合わせてあるのだ。
「じゃあ戻るわ、ガッコ遅刻しそう」
「うん。いってらふぁい」 「…チョコ噛みながらしゃべるなよ!ちゃんと歯磨けよ、虫歯になるぞ?」 「そんなことまでイチイチ言わなくてもちゃんと磨きます!」 「じゃあ、また今夜なv」
つまりこれはとても幸せなことで―毎朝ベッドでおはようと目を合わせて挨拶が交わせるのも、こうやって行ってらっしゃいと見送ってもらえるのもこの子が自分自身であるがゆえの幸福だなぁ…とぼんやり思いながら―最後にチュ、と行ってきますのキスをして精神世界を後にした。
***
なんか前に書いた話で現実と精神世界はビミョーに時間差があるよ!みたいなことを書いた記憶がおぼろげにあるんだが(だがどの話で書いたかは覚えていない←)いつの間にか同時進行になってるwwまぁいいかww(オイ) 白い子が料理ヘタってのは前書いた…と思ったら、書いたのはすのーほわいと2巻の書き下ろしだったwww^p^ 気になる人はそっちでチェックしてくださいww(CM) 相変わらずクオリティが(略)で適当すぎるタイトル^p^ まぁいいかwwwww(よくない) |
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