「…別に」

「俺のことを好きになって欲しいなんて言いません」

「宍戸さんのことを想うのは止めてください」

「…それだけは許せない」

「あんな風にアナタを蹴落とした人をアナタが好きでいるなんて」


気の強い瞳をした後輩を、滝は穏やかに見返した。





「…日吉は鋭いんだね」


「滝さん!!!」

堪らなくなって日吉は叫んだ。


「まさかアナタわざと負けたんですか?!あの人のために―‥」


「…そんなことしないよ」
滝はクスクスと笑った。


「…でも、宍戸を好きっていうのは正解。」

切り揃えられた髪の毛から覗く伏せた瞳。
綺麗な綺麗なアナタ。



「…ね、宍戸には黙っておいてね??」
「…どうして…」
「宍戸、俺からレギュラー奪ったことすっごく気にしてるみたいだから。
 そのうえ俺が自分のこと好きだなんて知ったら…」
「…滝さん!!優しいのもいい加減にして下さい!!」

「日吉…優しいんじゃないよ」



「…ただ好きなだけ」

致命的なそのひとこと。





ティアドロップス     Act.1





「…ちっくしょ…」

やりきれない思いを呟いても、誰も聞いてはくれない。
悔しくなって、彼は足元の石を蹴飛ばした。

PM8:00、たったひとりきりのグラウンド。
真冬のそこは閑散とただ寒々しくて、その寒さがそのまま日吉の胸をすり抜けた。


自分のものになってはくれないことくらい判っていた。
でも、ただその大切な人の心にいるのが他でもないあの人だなんて。
どうしてあの人じゃないといけなかったのかと思うと、日吉の胸に例えようもない怒りが湧き起こった。


(あの人なんか、自分がレギュラーに戻りたいが為に、いとも簡単に滝さんを蹴落としたじゃないか…)

ずっと一緒にやって来たチームメイトで、友人だったのに。
あの時の彼は痛々しくて見ていられなかった。



「ちくしょう……」

もう一度呟くと、後ろの方から小さな声で 日吉、と呟く声が聞こえた。
誰もいないと思っていた日吉がびっくりして振り返ると小柄な金髪の少年が立っていた。

滝と同じ三年生である日吉の先輩―芥川慈郎。


「……慈郎さん 聞いてたんですか」

日吉が脱力して訪ねると、慈郎と呼ばれた少年はこくんと頷いた。

「…どこから?」
「―日吉と滝が喋ってたときから…殆ど全部。」


日吉は溜め息をついた。
よりによってこんな能天気な人に全部聞かれてしまうなんて。


「…全部って…そんな長いこと聞いてたんですか?!」

日吉が憎々しげに睨みつけると、慈郎はまた頷いた。


「…だって、日吉も滝も泣きそーな顔してるから気になって…」


そういう慈郎の方が泣きそうな顔をしていた。
素直で、無邪気で、感情表現がストレートで。
泣きたいときに泣いて笑いたいときに笑う―滝とはほとんど正反対のヒト。
滝は悲しい時もそれを押し殺して笑えるヒトだけど、慈郎は違う。(…と思う)


「ごめん、俺、知らなくて…」
「別にいいですよ」
日吉はまた憎々しげに言った。


「俺、すきな人とかいないから判んないけど…宍戸って確か跡部と付き合ってたよね?」
「…そうみたいですね」
「…つまり、滝も日吉も失恋ってことだよね?」
「…そうですけど…いったい何ですか、嫌味ですか?」

鬱陶しい。

日吉が冷たく言い放って振り返ると、慈郎の大きな瞳に溜まった涙が堪えきれなくなって一粒零れた。


「…なんでアナタが泣くんですか」

日吉が半分呆れてそれを拭ってやると、彼は首を振った。

「…判んない」


柔らかくて赤ん坊みたいな肌だ、と思う。
髪の毛もくるくるで、少し触ると猫の毛みたいにふわふわと揺れた。


悔しい。

あのヒトだって、宍戸さんの前でちょっとでもいいからこんな風に泣いていれば。
そうしたら何か変わったかも知れないのに。
あのヒトはいつもいつもいつも我慢してあの綺麗な眉毛をほんのちょっと顰めただけで済ませてしまうんだ。



「―ッ!」
「ちょっと、日吉?!」

とつぜん携帯を握り締め駆け出した日吉に慌てて声をかける。

「宍戸さんに一言言ってやるんですよ!!!」
「…ちょっと待ってよ日吉、だめだよ」
「…何で止めるんですか!」
「宍戸、何にも知らないんでしょ?いきなり言っても…」
「そうでもしないと、俺の気が済まないんです!!」
「でも…」

慈郎は俯いた。
日吉の制服の裾を掴むその両手が少し震えている。
部活内の人間関係が崩れるのは嫌だと、その指先が無言で語っていた。
そんなもの俺は知らない。
滝さん以外の誰が傷ついても構わない。
そう、滝さん以外なら誰でも―‥


「…じゃあ、アナタが俺の怒りを冷ましてくれます?」
「え?」
「…アナタは小さくて柔らかくて、抱き心地が良さそうだ」
「…俺???」
「はい」


慈郎は良く判らない という風にじっと考えていたけれど、暫くするとその口唇をきゅっと結んで答えた。





「…いいよ」







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突然のひよジロですw つか布教しないと!とか言ってる側から別カプ書いてるなんて駄目な私…
つか
相当ジローに夢を見ていますがもう今に始まったことじゃないので気にしない方向で
しかも
城海以来の続き物でっせw
城海以後、
ジャンルやめた時困るので(そればっかりだなアンタ)絶対続き物は書かないことにしてたんですがw
私は何を恐れてるって、トリシシよりも何よりも飽きることを恐れています(きっぱ)

つーか私はいつも、何かカプにハマったら、
脳内設定で、こいつとこいつはこういうことがあってこういうことをして付き合うに至ったんだ…
という大まかな筋道を設定して、(たまに別れるとこまで設定することもある)
それの部分部分の話を小出しにして小説なりマンガなりを書いてるんですが。(物凄くどうでもいい話だな!)
その筋道をまんま書こうとしたのは城海の時だけだったんだけど(そして結局書けずw)、ひよジロは
どうしてもその筋道を書きたいので書かせて頂きます。
何か
脳内設定総出し!!って感じなのでついて来れない人は読まないように(今頃言っても)
と言っても長くても4話くらいで終わると思うけど。(短ッΣ(゜Д゜;))

とりあえず脳内設定としては
跡部とジロー幼なじみ説を採用。(跡部まだいちども出てないだろ!Σ(゜Д゜;))
(あとは
跡宍/忍滝で 忍→滝←日吉←ジロー滝は宍戸が好き。これね。←これね、とか言われても…;;)
いやありえないとかいう話はなしの方向で。何度も言いますけど
彩霖さん捏造の世界で生きてゆきますんで。(きっぱ)
つかだって
跡部様とクリーニング屋の子だよ?萌えるー!(お前だけな)
いやでも
跡ジロ跡の人の萌えポインツは絶対にそこなんだよね!(根拠のない自信)
何かこういぢめられてたりするジローを守ってやったりしたねん、跡部。(何の話をしてるんだ…)逆でもヨシ。
そんで
身分の違う子と遊んじゃいけません!(いつの時代だよ)とか云われたり(誰にだよ)して…(何の夢を見てるんだ…)
でも
ボンボンだった跡部に外の世界を教えてくれたのはジローなんだよ(うっふり)
幼少の頃ジローと出会ってたから跡部はああやって割と普通の子に育ったわけで(貴様の脳内設定はもういいから)
んで跡部は今も幼少の頃の名残でジローの面倒を見てるの…(うっふり)
日吉がジローを泣かしたりしたらぶん殴るねん(もういいから)
でも私は
NOT跡ジロ跡なのでその方向で。(説得力無い…)
つか跡部&ジローの萌えどころについて語ってる場合でもないような…(滝汗)
つーか私樺地の存在を徹底無視しすぎ。

フーなんか脳内設定だけが突っ走って来たのでこの辺で。

つか、勢い良く語ってる割には
ありきたりで先の展開がバレバレだな、この小説( ゚д゚)だって書きたかったんだ…(つД`)
まぁこの先キャラ総出演!!くらいの勢いで氷帝キャラが出まくりますので嫌な人…というか
跡宍・忍滝が嫌いな人は読まないように。(つか流石にこの展開ではチョタサカは無視なんですか彩霖さんw