「…切原さんって、色白いよね」


ベッドの上で退屈を弄ぶように彼の指をなぞって呟く。
雪のように白い―と言えば大げさかも知れないけれど、その肌の白さはある種病的とさえ思わせるくらいだった。
切原は久しぶりの情事で疲れたのか、ああ、と眠たそうな顔だけを越前の方に向けて言った。



「焼けねぇんだよな、俺。昔から」


不思議と赤くもなんねえんだよ、と続ける。
ふうん、とだけ越前は返事をして、それでもその言葉に反した仕草で、その白い指先に口付けた。
何だよ、と切原はくすぐったそうに笑った。


「―何でもない」








修羅雪姫







『…なんで』


今はもうそんなことも少なくなったけれど、始めの頃は良く聞かれた。


『どうして俺なんだよ』


彼は越前に恋愛対象として選ばれたことが不満であるかのように、そのことばかりを尋ねた。



『…どうしてって、言われても』


そんな風に答えると、彼は眉毛をきゅっと顰めて、俺はお前に負けたのに、と言った。


『…それとこれは、関係ないんじゃない?』
『…俺だったら、自分より弱いやつを好きになったりしない』
『それはアンタの場合でしょ』
『そーだけど…』


切原は不満げに枕に顔をうずめた。


『なに、俺に愛されてるの気に入らない?』
『そういうわけじゃねえけど』

切原はちょっと笑って、好かれるのが嬉しくないわけねえだろ、と言った。
―まるで告白を断る常套文句みたいに。







どうして自分なのかなんて聞かれても答えられるはずもない。
そもそも国語は苦手なのだ。



それでもはじめて対峙した時。
あの時の衝撃はちょっと忘れられない。
本当は初めてあの技を使ってあんまり記憶がないのだけれど、これだけは覚えている。
雪のような白い肌、不自然なくらい人間離れした赤い赤い瞳―‥
こんなに盛んに屋外でテニスをしていて、これだけ色の白い人間を見たのは初めてだった。
子供の頃に母親から時々無理矢理聞かされた童話に出てくるお姫さまが、確かそんな表現をされていたと思う。
その彼がその赤い瞳をギラギラと吊り上げて挑発して来たのだから、結構好みだと思った。
もともと気が強いのは好きだったから。


―けれど。
彼は酷く脆くて、びっくりするくらい刹那的な側面も持ち合わせていた。
どちらかと言えば、本気になったのはこちらの方。
危ういと言った方が正しいかも知れない。
笑顔さえ繕っているようで、笑われると妙に目をこらして見つめてしまった。
そのうち硝子が割れるみたいにばらばらに砕けてしまいそうで妙に怖かった。


関東大会の決勝戦で切原が倒れた時に、越前は彼のそばにいることを決めた。
彼の視線の先に誰がいるのか知らないわけじゃなかったけれど。
あんな風に倒れられた時に、せめて支えてあげたいと思った。



雪のように白い肌の童話のオヒメサマ。
でも彼のそれはどう考えてもそんな可愛らしいものではなくて。
―例えば、もし修羅というものがカタチとして存在するのなら、こんな姿ではないのだろうかと。
あの時あの赤い瞳に怖いくらい真っ直ぐ見据えられてクラクラする頭で、夢みたいにそんなことを考えたことを覚えている。









「―ねぇ、切原さん」

思い出したように越前は言った。


「―あの時…赤い目のアンタに惹かれたって言ったら…怒る?」


こんなことを言ったら悲しむだろうと思ったからずっと言わなかったけれど。
切原本人でさえ疎んじていた、赤い赤い赤い―あの残忍な修羅の瞳。



「好きになったのは勿論、それだけじゃないけど。キッカケはあれ。アンタ、凄く綺麗だった」


「…綺麗かどうかはおいといて、別に怒らねえよ」

切原はアッサリ答えた。


「…でもそれじゃあ、もうお前が俺に執着する理由はないんじゃねーの?」
「そんなことないよ、あれも切原さんの一部だもん」
「そう思うのか?」
「―違うと思うの?」


切原は何も答えなかった。



「アンタ、随分気にしてるみたいだけど、少なくとも俺はあの時鬼みたいなアンタを見ててゾクゾクしたよ」
「…気にしてて悪かったな」
「そういう繊細なとこも好き」


そう言って彼の頬にキスをすると、切原は目の代わりに頬を少し染めた。





「…俺は、アンタが誰を見ててもいい」

「最終的に、アンタがボロボロになって倒れる時に」

「―俺の手を取ってくれさえすればいいから」



切原はちょっと顔を歪めて、俺はボロボロになんてなんねーよ、と言った。




「…判ってるよ」
越前はちょっと笑った。


判ってる、アンタは誰にも頼らない。
例え血だらけでボロボロになったとしても。
倒れるその瞬間まで修羅のままでいるのだろう。
(最も、彼の後姿でさえもう自分には血だらけみたいに見えるのだけれど)








「―もしもの話」





アニプリの赤也たんの肌が妙に白いのが凄く気になったので書いた話。
気になってるのは私だけなんでしょうか…(知らんし…)
もしかしてあれは効果なのか?ワザとなのか?あかやたんの人間離れした悪魔っぽさの演出?(なわけない)
つかテニスの人たちはみんな人間離れしてるけどとりあえずスルーで
とりあえずタイトルはこれ、城海の時に使おうと思ってたタイトルなんだけどw
(城海の時は「夜叉姫」も使ったし…_| ̄|○ もう姫はいいから…/力なく)
他に思いつかなかったし、今後使うこともなさそうなんで使ってみましたw
ちなみに元ネタは釈由美子たん主演の映画だよw 名作なので見てね(何なんだ…)
つか拍手に置こうと思ったけど拍手が落ちてたのでこっちにw(その辺はどうでもいい)
つか越前は童話なんか聞きたがらない子供だったと思うよ!(今も子供だが

つか何か城海みたいで凄い嫌なんですが…(真顔)
つか私はあかやたんを危うい危ういと思ってるからこんな話しか書けないのか_| ̄|○
何かもうあの子の後ろ姿とか痛々しい!とか思ってるのはわたしです(この小説見たら判るよ)
つかあかやたんはこんなヨワイコじゃないですか?(聞かれても)私もそう思いたいんですが私にはどうしてもこう見えるというか(黙)
もっとアホラブみたいな話が書きたいんですが、書けないというかむしろ思いつきさえしません_| ̄|○
ちなみに越前はああいうことを平気で言いますが、ゆっきーは最後まで知らないフリをするタイプです。(知らんし…)