アナタに何か作ってあげようと包丁を探すけど、そんなものはもうどこにもないので工作用の鋏を手に取った。
先が丸くなっている、短めのそれ。

こんなものではネギくらいしか切れないような気がするけど、指の入ったスープを作るよりは幾らかマシだろう。

全く使われた形跡の無いキッチンはもうまるで自分専用といった感じだった。
ここでアナタの為に料理を作るわけなんだけれど、これまでにいろいろと惨事があったのでそこにはもう包丁はおろか皮剥き器のひとつも置いていなかった。

あるのはただその短い鋏だけ。
仕方がないのでそれでネギを切った。
手でも切れる菜っ葉を一緒に入れて味噌汁にする。
あとはお米を炊けばとりあえずは、食事と呼べるものになるだろう。

こんなものでも作らないよりはマシなのか そんなことは知らない、ただ。
ここでアナタの帰りを待ちながらただアナタのことだけを想って料理を作る、その時間を失いたくなかった。

ただそれだけ。





斜陽





日に日に貧しくなってゆく食卓を見て、アナタはほんの少しため息をついた。
喉まで出かかった「どこかに食べに行きましょうか?」という言葉を押し殺す。
忘れがちだけれど、自分たちはいちおう教師と生徒というやつで。
あんな有名私立校で、誰かに見られてウワサにでもなったら大変なことになる。
ましてや、責められるのは教師である彼の方で。
彼が辞めさせられたり、どこかに飛ばされたりしたら生きてゆけない。

―否。

何 を す る か 判 ら な い 。




外には出られない。
光の下は知らない。太陽も知らない。
そんなものは要らない。

夜と朝の境目。
太陽が沈んで、また昇る、その間。
必要なのはそれだけ。

ただひっそりと部屋の隅で息を潜めて。
繋いだ指先の温もりを確かめているそれだけが全て。




「…テストはどうだったんだ?」

不意に彼が口を開いた。
微妙な空気を紛らわすためなのかは知らないけれど、ただ自分たちは身体を繋いでいる時以外は余りにも無口だった。


「…いつも通りです」
「お前は優秀だな…音楽も満点だったぞ」
「…得意科目ですから」


だって。
だって音楽は、アナタの好きなものだから。
ピアノもバイオリンも親に無理矢理習わされた退屈な戯れ事でしか無かったけれど。
アナタに逢って生まれて初めて神様に感謝した―アナタに繋がることを続けてきたことを。
楽器があんなに美しいものだなんて思いもしなかった。
―あるいは美しいのは楽器じゃなくてたぶんアナタだったんだろうけれど。
アナタの指が飛ぶように鍵盤をすべるそれを、永遠に眺めていたいと思った。

…その時はそれだけだった。
まだそれだけだった。




「…お前は料理も本当にうまいんだけどな」
彼は残念そうに言った。


まだこの家のキッチンにちゃんとした道具が揃っていた頃は、もっとちゃんとしたものを作っていた頃もあったっけ。
自分の性癖を考えると、そのくらいの長い時間を一緒に過ごしているだけでも奇跡のような気がした。



何となく涙が浮かんできた。
幸せなのか、不幸せなのか、嬉しいのか、悲しいのか、もうそれすらも判らなかった。
ただこの先の未来が怖いと思った。けれど失うわけにはいかなかった。
下を向くと、目敏い彼がほんの少しだけ出た涙をその綺麗な指(決して誇張ではない)で掬い取った。



「…泣くと味噌汁に涙が入るぞ」


味噌汁なんてもともと塩味なんだから涙が入ったって特に変わりばえもしないだろう。
そんな慰め方しか出来ない彼を本気で好きだった。



「…榊さん、キスしてください」


アナタはもう何も言わなかった。
ただ箸を持つ自分の手を取るとそっと口唇を当てた。





途端に眩暈がするくらいの幸福感が襲って来る。
アナタと口唇を重ねる瞬間―アナタと身体を重ねる瞬間―アナタと心を重ねる瞬間。
嬉しくて幸せで‥―狂ってしまいそうだった。
本当にそうなったらどうなってしまうのか―自分がいちばん良く知ってる。
ずっと言おうと思って、ずっと言えなかった言葉が今日もただ頭の中を廻った。


お願いだから突き飛ばしてください

早く逃げてください…







堪えきれなくなった涙が一滴、容赦なく味噌汁に落ちた。






あはははは(早くも狂ってキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!!!!)
部屋を暗くしないとチョタサカが書けない@彩霖です(情けない自己催眠…)
切ない系を目指してみました(黙れ)
傷つけあうしか出来なくても離れられないチョタサカです(黙れ)
何か書いてて色んな意味で泣きたくなりましたw 決してトリシシ本を見てたからじゃありません。(もうそれはいいから)
つうかまた
チョタサカっていうか逆に見えるな…(鬱)

つか脳内設定出しすぎてそろそろ意味不明ですかね?
とりあえずチョタは刃物を持つとえらいことになるので…(その設定ありえないから!((((゜Д゜;)))))
それで言うと
私の書くチョタは心の病気ということになるんですが…(←笑いをこらえている)
つかまんまソレですなw ああ面白い(面白くないから)

つーか斜陽…こんな小説が斜陽…太宰治(ファンの人も)ごめんなさい。でも太宰の小説好きじゃないんだ(黙れ)
でも仮にも超☆金持ちなふたりが
味噌汁とごはんだけなんてなんとも情けなすぎる食卓を囲んでいるあたりが、
もう
何とも言えず斜陽ってかんじ(そこなのかよ!Σ(゜Д゜;))
私は味噌汁とごはんだけでも悲しくなったりしないけどなw(お前と一緒にするんじゃないよ!)
つか最初はぜんぜん違うタイトルにするつもりだったんだけど、最後の方チョタが泣いてるあたりで
あれ…これって「斜陽」っぽい…?と思って(なんと愚かな!)斜陽にしましたw
中高校の頃の友人にこの小説が好きで何十回も読んでる子がいて、私はその魅力が全く判らなかったんだけど今ならちょっと判るかな…(ちょっとかよ)
なんていうか斜陽の魅力?は
破滅への輪舞曲!ってかんじなところだよね?(違うから!Σ(゜Д゜;))
なのでこの小説も
破滅への輪舞曲!がテーマです。(どこが…)
今までのジャンルって、何だかんだ言って割と甘い小説しか書かなかった(ような気がする)のでこの程度でも
ちょっとやりすぎたかなと思いました
(全然やりすぎてないから!!Σ(゜Д゜;))
あとわざわざ「
決して誇張ではない」とか書いたのは勿論斜陽っぽさを意識したのです(フーン(;´_ゝ`))
因みに工作用の鋏でネギを切るのはあんまりだと思うけど、幼稚園の時あれでよく粘土を切ったなぁとか思い出しながらネギに。(謎)
他の何を切るよりも粘土を切るのが切り心地が良かった。(どうでも良すぎる)

つか何度も言いますが
リアル長太郎とリアル太郎を思い出すと胃から昨日の食事が出て来ちゃうかもしれないので、
テニスのコミックスは手の届かないところに保管しましょう
(黙れ)
かく言う私もこうしている間にも思い出しそうで……あはははは(大丈夫か)でもそういう時は
トリシシ本を読んで頑張ることにしました。(またか…)
うちのトリシシ本たちは本当に本当に私の活動源になってくれてます(つД`)ありがとうありがとう!(……)
これが無かったら私もっともっともっと更新遅いし原稿も遅いし…!!!
怨念の力とはかくもあるべきか(意味が判らん…)

ソレは置いておいて、生徒攻教師受というものを私は過去に結構いっぱい読んだと思うんですが、
残念なことに極楽院櫻子の「
ぼくの好きな先生」という話以外何も思い出せない…(つД`)
それを読んだ頃私はまだ
自分はホモなら何でも萌えると思い込んでいたくらい幼くて、
何かカワイイ主人公の男の子が攻で綺麗系の長髪の先生が受だったことに驚きを隠せなかった
その時は
あれ…これ逆じゃないんだ…とか思ったんだけれど、そう思ったあの頃から何が変わればこんなにマイナーになってしまったのか。(知らない)
確かその綺麗系の先生はヤクザに狙われたりとか強姦されたりとか元彼に奪われたりとかさんざんだったんだけれど、もう何か今思うとチョタサカってかんじ。
(何言ってるんだ彼女…)

相変わらずの語りの長さでスミマセン(死ぬべき)
つか跡宍小説を書こうとしてたのに気付いたらチョタサカ書いてた( ゚д゚)
いや、だって小説って(マンガもだけど)シリアスの方が書きやすいんだよ(つД`)つか小説である以上はシリアスを目指したいというか…(意味が判らん)
やっぱチョタサカ小説は
書いてて興奮するので楽しいですね。(あんただけ楽しまれても…( ゚д゚))

つかマジで読んでる人はいるのかという疑問が残る。(超謎)