「…跡部っ!跡部っ!雪!雪!」

隣の宍戸に揺さぶられて、跡部は目を覚ました。
枕元の時計を覗き込むときっかり午前5時。


「…何だよ…こんな時間に…休日くらい寝かせやがれ」
そう言い放ってまた眠りの世界に戻ろうとすると、宍戸によりいっそう激しく揺さぶられた。


「雪だってば!積もってるんだってば!!」
「…だから何だよ、雪くらい積もるだろ」
「すげーの!誰もいねえの!真っ白なの!!」
「…(そりゃこんな時間ならいねぇだろ…)」

真っ白なのはてめぇの頭だ、と思いながら跡部は身体を起こした。
カーテンを開けても真冬の5時は真っ暗だ。
下を見ると宍戸の言った通り真っ白の銀世界がどこまでも続いていた。


「…確かにすげぇな」
じゃ、と言ってベッドに頭まで潜ろうとすると宍戸に全力で制止された。

「何だよ…」
「外行こうぜ、そとっ!」
「はぁ!??」

跡部は素っ頓狂な声を上げた。


「…朝の5時にか?」
「…だって、人が増えたら意味ねぇもん」

宍戸は、ちょっと悲しそうな顔をした。
確かにこんな都会では、あと1時間もすれば人が動き出して雪で遊ぶどころではなくなるだろうけど。


…はぁ。
跡部は溜め息をついた。
足元に散らばっている宍戸の服を持ち主に投げつける。


「…早く着ろ」
「…!」
宍戸は物凄く嬉しそうに跡部の腕に絡みついた。

「…跡部大好きv」
「判ったから早く着ろ」

はぁ。
跡部は人知れずまた溜め息をつく。
自分はこいつに甘いんだろうか。






白い恋人






「すげーな〜誰の足跡もついてない〜」
「…そりゃそうだろ」

雪が降るだけあって流石に寒い。
今は降っていないけれど、きっと夜中じゅうしんしんと降っていたんだろう。
その間自分たちは何をしてたんだっけ…と思ったけれど、一緒に寝てたんだから答えはひとつだけだった。


「すげー‥さらさらー」

手袋もしないで、宍戸は雪を掴んで散らした。
しもやけになるぞ、とか思うけれど黙っていた。
こんな阿呆は、しもやけにでもなんでも好きなだけなればいい。


「きれーだなー何でこんなのが降るんだろーなー」
「…」

そんなことは確か、小学校の頃あたりに習った気がする。
まぁ説明してやる気もないので跡部は黙っていた。
そんなことを科学的に説明してやるよりも、宍戸にとっては「冬に降ってくる不思議なもの」の方がいいのだろう。


宍戸はきゃいきゃい言いながら雪を丸めてみたり、木にぶつけてみたり、ひとりで阿呆のように遊んでいた。
跡部はすることもないので、ただひたすら宍戸を見ていた。
まだ日が昇る気配もなく、ただただ広がる白と黒のコントラスト。



(…なんでこんなの、好きになったんだろう)


(…顔が好みとかじゃないし)


(…てゆーか男だし)


(…確かにちょっとは可愛いけど)


(でもこいつだったら、向日とか滝とかジローのがよっぽど可愛い)



いつか、橘の妹に会って可愛かったからちょっとからかってやったと言ったら宍戸は泣きそうになっていた。
いっそ橘に負けた時よりも酷い顔をしていた。








「…寒くねえか?」

思い出したように声をかける。
寒いけど、と言って宍戸は笑った。
跡部は宍戸に歩み寄ると、自分の首に巻かれていたマフラーをするすると外して巻いてやった。


「…跡部」
宍戸の頬が赤く染まる。
「なんで赤くなんだよ、こっちが恥ずかしくなるだろ」
「…ごめん」


酷く冷たい風が、結んでいない宍戸の髪の毛を揺らした。
その風に煽られるように、また空からは雪がちらついてくる。



「…また降って来たな」
「…」
「そいやお前、なんで雪が積もってるって知ってたんだ?」
「…トイレに起きた時、窓から見えたから」
「…ふーん」

「…跡部と、見たいと思った から…」

一息おいて宍戸は言った。
赤い頬をもっと赤くして視線を反らすその様を見ると、やっぱり思ってしまう。



(…可愛いやつ)


無理矢理起こしちゃってごめん、と言うその口唇を軽く塞ぐ。
当たり前だけれどそれは酷く冷たかった。


「…冷たいな」
寒さでちょっと紫がかったそれを指でなぞる。
あとべ、と言って制止しようとする冷たい指を掴んでその指先に口付けた。
降って来た雪が黒い髪の毛を彩るように降り積もる。


「…あとべ」
宍戸は熱っぽい声を出すと跡部に抱きついた。
…というよりもしがみついた と言った方が正しいかも知れない。



「俺お前が好き」

「すげー好き」

紡がれるいつも通りの言葉。


「…知ってる」

跡部もいつも通りの返事をする。

「…知ってるよ」


抱き返したその身体も酷く冷たくて。
どうしてこんな気持ちになるのだろう、とかそんなことを思うけれど。
きっとこの白い雪に酔っているのだろうということにして考えるのをやめた。





「…もー気が済んだか?」
「…ん」
「ならベッドに帰るぞ」
「…うん、眠い…」
「バーカ。寝かせるか」
「えぇー?朝っぱらから?」
「お前の我侭に付き合ってやっただろ。今度は俺に付き合え」


もう一度その口唇を塞いで酷く冷たいその手を取る。
太陽ももうすぐ顔を出すだろうし、今度外に出る時はもう雪は溶けてしまっているだろうか。
それとも、また降って来たことだし今日中は残っているだろうか。
―まぁ自分にはどうでもいいことだけれど。


宍戸の冷たい手を握りながら、まずはフロだな…とか考えて。
跡部は玄関のドアを開けた。




…宍戸さん…!!・゜・(ノД`)・゜・←2回目
あー‥‥もう何というか…(突っ込みきれない…)
私はよほど宍戸を阿呆にしたいようで…ハハ(渇笑)
つーか私の中の跡宍は、
あんな阿呆にあんなに懐かれたら、跡部だって可愛いんじゃないかな
みたいなのがテイストなんで。(いったいどんなだよ…)
つーかそのテイストに取り憑かれてるんで。(そんなんに取り憑かれてどうするんだ…)
てゆうか確か私、乙女な宍戸はイヤー!とか言ってたような…(無言)
いや、宍戸は乙女なんじゃなくて阿呆なんだよ…(お前は宍戸ファンに殺されろ)

つか跡宍は、絶対にマンガのが描き易いよね(知らんよ)
小説を書くたびに、マンガにした方がいいよなぁと思う。(ふーん)

とりあえず阿呆ですみません(宍戸が
何というか…許してやってください(宍戸を
↑宍戸のせいにすんなよあんた!!!Σ(゜Д゜;)

つーか書きたいのはただのバカップルかも知れません。つーか雪に酔うバカップル(阿呆すぎ)
ちなみに言うまでもありませんが「白い恋人」の「白い」とはイコール阿呆の意(…)
当然雪ともかけてますけどね。つか跡部たまは宍戸を甘やかしすぎ…(涙)←貴様が書いたんだろ
ついでに背景画像は流石に携帯では撮れなかったので(雪が降るところには住んだこともない)素材屋さんで探しました。
全然都会っぽくないですが、あんまり気にしないでください(お前が気にしろよ!!Σ(゜Д゜;))

えーと…私は宍戸が好きです。(本当かよ…)でも跡宍がもっと好きです。(意味が判らん…)