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―触れたいな、と思うようになったのはいつのことだったのだろうか。 そいつは自分の内なる虚で―何度か戦ったこともあったけれど現在では休戦状態というか、いちおう相棒というか―まぁそういう関係だ。 向こうの世界は余程退屈なのだろう(そりゃあ、見るからに斬月は無口で話し相手にもならなそうだし)、時々こちらに出てきては自分の部屋でだらだらとしている。 特になにをするわけでもなく―他愛のない話をしたり、テレビを見たりするくらいのものなのだが。 なんというか彼は同じこの自分だとは思えないほど―男の自分から見てもかっこよくてドキドキさせられた。
「一護、そこのお菓子取って」 「あぁ…って自分で動けよ!つかベッドの上で食うな!掃除すんのは俺なんだぞ!!」
チラ、と自分に寄越したその投げやりな目線でさえ―ぞっとするほどいい男に見えてしまってどうかしていると思う。 だいたい目が金色だなんて詐欺だ。それが虚のそれだとか相手は生き物ですらないのだとか言われても―そんな目で真っ直ぐ見られたら心臓が止まりそうになるのに、そのまま彼に触れてみたいとかトチ狂ったことを考えたりする。
「おまえさぁ…なんでココに来んの?」 「いーだろ、好きにさせろよ。もう力貸さねーぞ」 「…いや、迷惑だとかそういうイミじゃなくて…その…おまえは俺のことどう思ってるのかなぁ、っていうか…」 「?」
虚は不審な顔をした。―たしかに十分不審なことを言っている自覚はあるが。
「―いちご」
自分より少し高い声で呼ばれてドキッとした。金色の目がギラッと切れ長になって、自分のそれを食い入りそうに見つめてくる。
「おまえは、俺の王様。―ほかになにがあんの?」
確かにそれはそうなのだけれど、物足りない―と一護は思った。 こういう気持ちを何と呼ぶのか、本当のことを言うと知らないわけではない。その経験がないわけではなかったし―それを声に出して目の前の相手に伝えようと思えばそれも出来る。一応男なのだから少女のように恥じらったりはしない―‥多分。 でも、自分ばっかりこういうのは不公平というか癪に障る。
(ふたりっきりなのに、全然、なにもないとか…どういう…)
なんだか変な勘違いをしていたかも知れないと一護は思った。 これはただのイメージだけれど―こいつが外になんて出てきたらすぐにでも―その、そういうコトになりそうな気がしていたのだ。だって、彼はいかにもそういうタイプだし、どっから見てもそういう風に見えるし、無理矢理とか好きそうだし―別に自分じゃなくったってそう思うだろう。うん、自分は間違っていない。 確かにコンがいる時もあって本当にずっとふたりっきりだったとは言い難いけれど。
もっとも、今すぐにでも声に出して―自分はおまえが好きかも知れないとそう言ってしまえばすぐにでもそういうことになるのかも知れなかった。ならない可能性もあるけれど―なるような気がした。 自分だって、そんなに、まったく、わからないわけじゃない。自惚れるつもりはないけれど、年頃の男なのだから少しくらいなら相手の気持ちを察することはできる。 ましてや相手は自分の一部なのだから、他人よりはよっぽどわかる。 本能で動く彼が何もしてこないということは、確かに性欲とかそういうものはそんなにないのかも知れないけれど(虚だから?)、この白い虚がこの自分にまったくの無関心なはずはないと―心のどこかで確信していた。
「…王でもいいけど。なぁ、キスして?」 「なんでそんな支離滅裂なんだよ、てめー」 「…キスしたい」
白い虚はなんで、とは聞かなかった。 代わりにスゥと白い腕が伸びて来て、自分の額の髪をかき上げる。ちょっと体温の低い長い指。爪が黒いせいか妙にスラッとして見える。―この手に触れられるのが好きだった。 その指がクイ、と顎を持ち上げたと思ったら虚の顔が近づいてきて―ちゅ、と軽く触れるだけのキス。
「ちょ…なんでそういう子供騙しみてーなことすんだよ!」 「…だってガキじゃねーか」 「ガキじゃねーよ!もう16!!」 「…」 「そーゆうんじゃなくて、もっと、ちゃんとしたキス!!」 「ちゃんとしたって…王、イミわかってんの??」
良くわかっている!!という気持ちを込めてこくこくと頷いたら両手でぐいと肩を引き寄せられる。
「俺とこういうことシタイなんてどういうつもり?俺がなんだかわかってんの?」 「わかってるよ。おまえこそなんで何もしねぇの?わざわざこっち来といて…」 「…コーコーセイは、そんなことしか考えてねーんだな。」 「ガマンしてるわけじゃねーの?」 「人の話聞けよ」 「うるせーな、てめぇこそ俺が王なんだから俺の言うこと聞けよ」
最初から命令してやればよかった、とぼんやり思った。
(―おまえなんか、絶対俺に逆らえないくせに)
目の醒めるような青い口唇が言われるがままにこちらのそれを塞ごうとしたので―慌てて両手で押しのけた。
「ちょ、待って」 「なんだよ!てめーがしろって言ったんだろ!!」 「もっとちゃんと抱き締めろよ」 「…絞め殺してもいいなら。」 「やれるもんならやれよ」
薄い口唇がはぁ、と盛大に溜息をつきつつ―それでもその長い腕が自分をぎゅうと包み込むのを感じて、一護はようやく満足した。
「…もうキスしていい?」 「結局したいんじゃねーか!」 「るせーな、こーゆー時は黙れよ」
抱き締められたまま口唇を塞がれて―本能のままに貪られて眩暈がした。舌を絡め取られて窒息しそうに苦しくても―‥もっともっと奪い尽くして欲しいって頭のどこかで考えている自分にゾッとするけれど。
「これでいい?ナァ王サマ」 「ぅ、ん…」 「…本気で嬉しそうに言うなよ。びっくりするだろ」
白い虚は少しだけ頬を染めた。だって本当に嬉しいのだから仕方がないだろう。
―でも、悔しいから当分好きだとは言ってやらない。
***
上(犯罪予備軍)でちょっと出てるキスの話を書いてみた。ww
犯罪予備軍のちょっと前ってことでwwwたのしいwww(お前だけな)
せっかくなのでこう、小娘テイスト(白い子が受の時とはちょっと違うかんじ)をフルに出そうと思ったんだけど出せているかは不明ww
言わないけど好きだよ!みたいな。
黒崎さんは中学の時彼女くらいはいたけどチューまでしかしたことないよ的な感じで。
奪われたいお年頃というか。(←恋一の時もゆってた)そして白い子大人www
つーかそれ以前にテイストがおかし(略
タイトルがアレだという案は却(略 |
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