Positive



「跡部」

キミが微笑う美しいその光景を今でも覚えている。
さらさら、長い長いその髪の毛が風に靡いて。
そうあれは確か初めて対戦したとき。

心臓がばくばくするのは試合後で興奮しているから。
眩しかったのは真夏の太陽がその背後にあったから。
判ってる判ってる判ってるよ。
判っているんです。



初めて見たとき、鳥肌が立った。
何て楽しそうにテニスをするんだろう とただその笑顔に得体の知らない恐怖を覚えた。
未知のものに対する恐怖だったんだろうと思う。


今までずっとずっと勝つことだけを考えて生きてきた。
自分に求められたのは勝利という2文字だけだったから。
ただ勝つことだけ。
意味があるのはそれだけ。


でも。
どんなに負けても、たとえレギュラーから落っこちたって。
彼はいつだって、いっそ楽しそうに這い上がって来た。
自分だったらどうしただろう、ふと考えてみる。
…負けたことなんか無いから判らないのだけれど。
でも、多分あんな風ではいられないと思う。

ただキラキラ前だけを向いて。
あんなものは自分には無い。
たぶん、自分はあんな風にはなれない。


「あとべ!」

部活後の部室のドアを蹴り飛ばしたかのような勢いで開き、酷く高い声で自分を呼ぶ。
こんなに暑いのに耳障りだ。

「コレ、新製品のジュースだって!」
何がそんなに嬉しいのか、満面の笑みで。

「だから何だ。別に珍しくもないだろう」
「何だよー。せっかく味見させてやろーと思ったのにー」
コロコロと確信犯のように笑う。


カチン。
「じゃあこの俺様が飲んでやろうじゃねーか」
宍戸の手から缶を取り上げて、勢い良く中身を流し込む。


お前の笑顔は癪に障るんだよ。
生来跡部は馬鹿じゃない、どちらかと言えば賢い方だ。
理由なんか判ってる。
いい加減にしろ。
俺様がどういう目で見てるのか判ってるのか。


一気に飲み干したジュースの缶を宍戸の目の前に突きつける。
それでも彼は相変わらず楽しそうに笑いながら言った。
「間接キスー♪」


「…」
ぷちん。
何かが切れる音がして、気がついたら彼の口唇を塞いでいた。
無理矢理口内に侵入して、歯列を舐め上げる。
「…んっ」

抵抗なんか出来るもんか。
お前が俺様に逆らえる筈なんか無いんだよ


「…跡部」
「黙れよ。」
「…跡部」
「黙れって。」

それでも目の前の彼は、同性に口唇を塞がれてもなお気丈に言葉を紡ぐ。

「…好き」
「…」


跡部は馬鹿じゃない。生来かなり賢い方だ。

「…知ってるよ」





ニキに書いた跡宍小説。まぁ適当に書いた感は否めませんな。(ダメすぎ…)
とりあえず、私が跡宍に求めているのはかなり他のカプと違いまして。(何)
どっちかと言えば宍戸→跡部です(おい)
とりあえず好き好き好きって言うのは宍戸の方向で(何言ってるんだあんた…)
ちなみに私は跡部も宍戸も特に好きではありません(何なんだ貴様)
でも跡宍は大好き(何それ…)