「なぁ、白」
「なぁってば」
何度呼んでも振り返ろうとしない後姿に向かってしつこく声をかけている。
「しーろー。」
何度目かの呼びかけにようやく振り返った自分の一部であるその虚は―思いっきり眉間に皺を寄せて、自分を睨みつけている。
「…そのシロってのは何だよ」
「なにって、おまえの名前。気に入らない?」
「気に入ると思ってんのかこのバカ王ォォォォォォォ!!!」
当然、彼の手は背中の大きな刀に伸びて―思いっきり斬月を振り下ろされたので、反射的にひょいと後ろに飛びのく。
「避けんなよ!!」
「だって、当たったら痛いじゃん」
この虚がいつどんな風に動くのか―何度も戦っているから殆ど見切っている。時々手合わせしたりするけれど、超能力みたいに相手の考えていることがわかることもある。
自分の一部でありもうひとりの自分でもある彼は、例えるなら双子みたいなものなのか―なんにしてもこの世でいちばん彼のことが判るのは自分なのだ。―それは変だけど、妙に誇らしい事実だった。
それにしても、ひょいひょいと攻撃を避けるのはこの虚の十八番であるのに、自分がされたら怒るとは理不尽な話だ。まぁもともと我侭な虚だし仕方ないのかも知れない。
「よりによって犬みたいな名前にしやがって!!それに、なんでおまえがつけるんだよ!!」
「だって、おまえ白いし…いいじゃんかわいくて。てか名前って親がつけるものだろ?おまえの親は俺みたいなもんじゃん」
「き、気色悪いこと言うな!!」
「気色悪いとはなんだよ、恋人に向かって」
「それとこれとは別だろーが!」
「俺じゃないんなら、おまえの親は浦原さんかな…浦原さんに名前つけてもらう??(笑)」
「そ、それはもっとイヤだ!!」
「じゃあ白で決定な」
浦原の名前を出すことで一方的に押し切ろうとしたら、虚はぶんぶんと全力で首を振った。
「ちょっと待て!シロなんて名前になるくらいなら俺が自分でつける!!」
「どんな名前?興味あるな」
うーん、と白い虚は少し考えて…
「えと…戎(カイ)とか夾也(キョウヤ)とか…v」
意外にもちょっと笑顔すら浮かべて、そんな名前を口に出した。
「ダッサ!!そんな中学生が考えたカッコイイ名前みたいな…(爆笑)」
「う、うるせぇな!このマンガは他のヤツもみんなそんな名前だろうが!(禁句)」
「そうだけど…おまえがそんなこと考えてたと思うと…」
「…テメーそんなに笑うことねーだろ!!」
「それだったら絶対白の方がいいってv」
ひとしきり笑った後でそう告げると、笑われたことがよっぽど効いたのか虚はマジメな顔で―そうか?と言った。
「じゃあ、やっぱりおまえは今日から白なv」
満面の笑みで確定報告すると、虚はまだどこか納得いかないような顔をしていたけれど―好きにしろよ、と言ってちょっとそっぽを向いた。
ツンデレというか可愛くないというか…この虚だって本当は自分が大好きなんだから、自分が名前をつけてあげたらとても嬉しいはずなのだ。(多分)
名無しじゃあ淋しいんじゃないかと思って一生懸命(?)考えたのに。
…まぁ、耳がちょっとだけ赤くなってるからそれもあながち間違いじゃないんだと思う。(多分)
「なぁ、お礼は?」
「なんでこんな名前に礼を言わなきゃいけねーんだよ」
「だっておまえは、俺が好きだろ?」
「理由になってねー!!だいたい、てめぇの方が俺のこと好き好き言うから付き合ってやってんだろ!」
「おまえだって俺が好きだろ?」
「…一護。」
ちょいちょい、と人差し指で合図されたので―トコトコと目前まで寄って行くとチュッと口唇にキスをされた。
「ハイハイ、ありがとなー」
棒読みのお礼で子供騙しみたいなキスをされても嬉しいし―愛されてるってちゃんと知ってる。
仮にもお礼なんか言ってくれるようになっただけでも、昔はよっぽどまともだ。―まぁ昔のも、あれはあれでこの虚の愛情表現(だと思っている)だからいいけれど。
暫くの間しおらしく黙っていたら、流石に悪いと思ったのかぎゅっと抱き締められた。
「―あ、」
「なんだよ、まだあんのか!?」
虚の腕の中であることに気がついてぱっと顔を上げると―相手もさすがに警戒して眉を顰めた。
「いや、苗字はどうしようかと思って…」
「苗字まで考えんの?苗字はテメーと同じでいいだろ」
「そうだけど…、俺がおまえのお嫁さんになるんなら…どっちかって言うと白崎かなぁ」
「…!!」
―今度こそ白い虚の真っ白な頬は耳まで赤くなった。
「なぁってば」
何度呼んでも振り返ろうとしない後姿に向かってしつこく声をかけている。
「しーろー。」
何度目かの呼びかけにようやく振り返った自分の一部であるその虚は―思いっきり眉間に皺を寄せて、自分を睨みつけている。
「…そのシロってのは何だよ」
「なにって、おまえの名前。気に入らない?」
「気に入ると思ってんのかこのバカ王ォォォォォォォ!!!」
当然、彼の手は背中の大きな刀に伸びて―思いっきり斬月を振り下ろされたので、反射的にひょいと後ろに飛びのく。
「避けんなよ!!」
「だって、当たったら痛いじゃん」
この虚がいつどんな風に動くのか―何度も戦っているから殆ど見切っている。時々手合わせしたりするけれど、超能力みたいに相手の考えていることがわかることもある。
自分の一部でありもうひとりの自分でもある彼は、例えるなら双子みたいなものなのか―なんにしてもこの世でいちばん彼のことが判るのは自分なのだ。―それは変だけど、妙に誇らしい事実だった。
それにしても、ひょいひょいと攻撃を避けるのはこの虚の十八番であるのに、自分がされたら怒るとは理不尽な話だ。まぁもともと我侭な虚だし仕方ないのかも知れない。
「よりによって犬みたいな名前にしやがって!!それに、なんでおまえがつけるんだよ!!」
「だって、おまえ白いし…いいじゃんかわいくて。てか名前って親がつけるものだろ?おまえの親は俺みたいなもんじゃん」
「き、気色悪いこと言うな!!」
「気色悪いとはなんだよ、恋人に向かって」
「それとこれとは別だろーが!」
「俺じゃないんなら、おまえの親は浦原さんかな…浦原さんに名前つけてもらう??(笑)」
「そ、それはもっとイヤだ!!」
「じゃあ白で決定な」
浦原の名前を出すことで一方的に押し切ろうとしたら、虚はぶんぶんと全力で首を振った。
「ちょっと待て!シロなんて名前になるくらいなら俺が自分でつける!!」
「どんな名前?興味あるな」
うーん、と白い虚は少し考えて…
「えと…戎(カイ)とか夾也(キョウヤ)とか…v」
意外にもちょっと笑顔すら浮かべて、そんな名前を口に出した。
「ダッサ!!そんな中学生が考えたカッコイイ名前みたいな…(爆笑)」
「う、うるせぇな!このマンガは他のヤツもみんなそんな名前だろうが!(禁句)」
「そうだけど…おまえがそんなこと考えてたと思うと…」
「…テメーそんなに笑うことねーだろ!!」
「それだったら絶対白の方がいいってv」
ひとしきり笑った後でそう告げると、笑われたことがよっぽど効いたのか虚はマジメな顔で―そうか?と言った。
「じゃあ、やっぱりおまえは今日から白なv」
満面の笑みで確定報告すると、虚はまだどこか納得いかないような顔をしていたけれど―好きにしろよ、と言ってちょっとそっぽを向いた。
ツンデレというか可愛くないというか…この虚だって本当は自分が大好きなんだから、自分が名前をつけてあげたらとても嬉しいはずなのだ。(多分)
名無しじゃあ淋しいんじゃないかと思って一生懸命(?)考えたのに。
…まぁ、耳がちょっとだけ赤くなってるからそれもあながち間違いじゃないんだと思う。(多分)
「なぁ、お礼は?」
「なんでこんな名前に礼を言わなきゃいけねーんだよ」
「だっておまえは、俺が好きだろ?」
「理由になってねー!!だいたい、てめぇの方が俺のこと好き好き言うから付き合ってやってんだろ!」
「おまえだって俺が好きだろ?」
「…一護。」
ちょいちょい、と人差し指で合図されたので―トコトコと目前まで寄って行くとチュッと口唇にキスをされた。
「ハイハイ、ありがとなー」
棒読みのお礼で子供騙しみたいなキスをされても嬉しいし―愛されてるってちゃんと知ってる。
仮にもお礼なんか言ってくれるようになっただけでも、昔はよっぽどまともだ。―まぁ昔のも、あれはあれでこの虚の愛情表現(だと思っている)だからいいけれど。
暫くの間しおらしく黙っていたら、流石に悪いと思ったのかぎゅっと抱き締められた。
「―あ、」
「なんだよ、まだあんのか!?」
虚の腕の中であることに気がついてぱっと顔を上げると―相手もさすがに警戒して眉を顰めた。
「いや、苗字はどうしようかと思って…」
「苗字まで考えんの?苗字はテメーと同じでいいだろ」
「そうだけど…、俺がおまえのお嫁さんになるんなら…どっちかって言うと白崎かなぁ」
「…!!」
―今度こそ白い虚の真っ白な頬は耳まで赤くなった。