この境界線がある限りひとつになんてなれないのに
この境界線が消えてしまったら僕たちはもう手を繋ぐことすら出来ないのです





カケオチごっこ 4







「…いいセリフ」


越前はニヤリと笑って、切原の脚を思いっきり抱え上げた。
普段は力のいるこの作業だけど、基本的に前からする方が多いから慣れている。
それに何と言ってもここは風呂のお湯の中だから、浮力という素晴らしいものが越前に味方して、切原の細い脚くらい難なく抱え上げられる。
ふたりが浴室で行為に及ぶことが多いのもこの為だ。
浴室の狭さは、越前の小ささで見事にカバーされて傷害にならない。
最初はこの体勢になると気の狂ったネコみたいに嫌がっていた切原ももう慣れたようで、むしろ楽しんでいるような素振りを見せる。


「…絶景」

越前はまた笑って切原に口付けた。


「…入れるから、力抜いててね」
「イチイチ言うなってっ…ばッ……あっっっ」
「…やっぱり、切原さんのナカすっごい熱い、よ」
「言う、な、ってば!!」


情事に慣れた身体はもう越前を飲み込むくらいわけもない。
確かに彼が体内が入ってくる感覚に切原は身を震わせた。


「…でもあんな余裕たっぷりに笑顔で言われると悔しい」

越前は思い出したように先ほどのセリフについてのコメントを漏らした。


「…だ、ってワザと言った、もんね」
「判ってるけどさ。もっとこう、恥じらいながら言うとか、屈辱的に言うとかさ」
「そ、こまでえんぎできね、ーよ」

挿入されているというのに切原は楽しそうに笑った。


「判りました、そのうち本気で泣きながら入れてって言わせます」
「少なくとも俺にガキ呼ばわりされてるうちはム、リ……ンッ…」

越前はそう決意表明をして、それをすべて収めきると切原を軽く揺さぶってやる。
繋がったカラダは早くももうどこが境目なのかわからないくらい熱くなっていた。


「…言わね、ーよッ」
「どうだか」
「こ、んな時だけ優勢、だからってチョーシ乗りやが、って」


切原は悔しそうにチ、と言った。
最初は喘ぐだけで精一杯だったけれど、今ではもうやりながらでも何とか普通に喋れるようになった。
最もそれはマラソンの最中に喋るようなもので、途切れ途切れで余裕のないものになってしまうけれど。



「…切原さん、カワイイ」
「ど、こが…」
「どこもかしこも」


部活の中では幸村や3年の先輩たちなどに、赤也はかわいいね、などと言われていたが、まさか年下の、自分より身長もずっと低いこんな生意気なガキにかわいい、なんて言われるなんて思ってもいなかった。
付き合い始めた頃、俺のどこがかわいいんだよ、とか聞いたら、アンタがいちばんかわいいよ、などと真顔で答えられて本気で赤面してしまったのを覚えている。


越前は少しずつ動きを早めた。
どのくらいのスピードでやればいちばん切原が気持ちいいのか、どこを触ってやればどんな反応をするのか、どこがいちばん感じるのか。
そんなことはもう、切原がこの行為に慣れてしまう前―何が何だか判っていない期間のうちに全部把握した。



「切原さん…気持ちい?」
「う、んッ…っ…」


切原は正直に答えた。
余りの気持ち良さに湯の熱さが加わって、なんだか頭がボーっとしてくる。
風呂でやるといつもこうだ。



「えちぜっ…」

気を失うなんて情けない事態だけは避ける為に、口唇は自然に越前の名前を呼ぶ。
口を閉ざしてしまったら最後、意識は呆気なく飛んでしまいそう。
いつもは黒い彼の大きな瞳が微かに赤くなっているのを見て越前は満足そうに笑った。
それは切原が確かに感じているというサインでもあるから。


「…もっと呼んで?もっとアンタに呼ばれたい」
「えちぜんッ……」


自分の名前を紡ぐ赤い口唇に口付けて、いよいよ追い込むかのようにきわどく前に触れる。


「やぁッ―‥」


甲高い声。
この声がいちばん感じる。


「ほんと、かわ、い…」


こっちも余裕がなくなってきた。
息が止まるくらい激しく何度も口付けながら、切原の体内に1秒でも長くいる方法を模索するけど。



「えちぜん…も…だめ……」


涙を溜めた瞳でそんな風に見つめられてはそれどころではない。
最初はどんなに虚勢を張っていても、やっぱり最後にはこんな風に可愛い反応をするのだからたまらないと思う。



(こっちも、もうだめ…か、も…)







***




「…水ん中にいるとそれだけで疲れるって聞いたことある…。知ってたか?」
「へぇ、知らなかった」
「だから水ん中でやるとベッドでやるよか疲れるんだよ、絶対」
「あー、そうかも…」
「なんか眠くなって来た…」
「俺も……」

まぁあれだけやればね、と越前は言った。
あれから何度か同じことを繰り返してお互いの気の済むまで繋がったあと、ようやく普通に入浴する気になって湯を溜め直したのだけれど、ふたりとも疲れ切ってお湯の中でボーっとするだけで精一杯だ。



「でもアンタでそんなに疲れてるんだから俺はもっと疲れてるってこと判る?」

消耗した体力は同じくらいだと思うけど、切原は何人もぶっつづけでテニスの相手ができるくらい体力の基本値が高いし(むしろそこは集中力の問題らしいのだが)、体格差を考えても越前の方が体力を消耗しているのは当然のことだ。


切原はちょっと笑って、ざまぁみやがれ、と言って越前を後ろから抱き締めた。
何だかもう元気になったようだ。
さすがだ、と越前は思った。


「ちいせぇーの」

お前の方がよっぽどかわいいのになぁ、と切原は楽しそうに笑った。
アンタの笑った顔の方がよっぽど可愛いんだってば、と越前は言いたかったが疲れていたのでやめた。


「俺もたまには痕つけちゃお」

切原はそう言って越前の首筋を強く吸った。
慣れない感触にゾク、と越前のカラダが震える。


「アンタ、痕なら死ぬほどつけてるでしょ」
「どこに?」
「…俺の背中」

切原は特にツメを伸ばしているわけでもないのに、越前の背中に残る情事の痕跡は凄まじい。
初体験の時なんてそこは文字通り血だらけと呼ぶに相応しく、ある意味惨劇だった。
切原が泣きそうになりながらごめん、と言うのが愛しくて、抱いたのは自分の方なのに何を言っているんだろうとか思いながら強く抱き締めたのがつい昨日のようだ。



「悪ィ悪ィ、夢中になると加減出来なくて」

切原はペロリと舌を出して笑った。
あの日のしおらしい彼の姿はどこにもない。
それはそれでちょっと残念だけど、いいことだろう。


「つかそんなに疲れてるんなら、俺がアタマとか洗ってやろうか?」
「…ホント?」
「うん」


切原はシャンプーをぐいっと引き寄せると彼らしい乱暴な仕草でそれを手に取り、くるくると泡立てて越前の髪の毛になじませた。
自分より長い、細い指の感触が気持ちが良い。
益々眠くなってくる。



「…きもちいー‥、何か、しあわせ」

越前はボソリと言った。


「なんかケッコンでもしたみたい」
「新婚ごっこ?」
「そうそれ。何だかんだ言って結局新婚旅行ごっこになってるね(笑)これならカケオチもいいかも」
「家がないとヤダって言ったくせに」
「そうだけど(笑)」


俺も洗ってあげる、と言って越前はくるりと後ろを振り向いて切原と向かい合うと、シャンプーを手にとって彼の髪の毛に絡ませた。
柔らかいくせっ毛がふわり、と越前の指に絡まってくすぐったかった。


「新婚でもやんねーよ、こんなこと(笑)」
「イチャつきすぎ?」
「そぉだよ」


さらさらだな、お前の髪、と言って切原は笑った。

「アンタの髪はふわふわ」
「そー?」

うん、と言って越前は彼にキスをした。
濡れた髪の毛から泡の雫がポタポタと落ちる。
上がることすら面倒で湯の中でシャンプーをしているので、折角溜め直した湯はあっという間に泡で覆われてしまい、泡風呂状態になっていた。
まぁ時間制限があるわけじゃないので、また溜め直せばいいことだろう。



「…切原さん」

何度となく重ねただけのキスを交わしながら、その合間に彼を呼ぶ。
なに、と切原は言った。




「…ずっと一緒にいてくれる?」


切原は少しびっくりしたようで、大きな目をもっと大きくして越前を見た。


「家とか学校とかにバレて引き離されそうになったりしたらさ、本当にふたりで逃げちゃおうよ…家もガッコもテニスも全部捨ててさ…」


そんな夢みたいなことを言って越前はまた切原の口唇を塞いだ。



「…越前」


切原は、越前の頭に洗面器で頭からお湯をかけた。
突然のことだったので思いっきり鼻に入って越前は目を白黒させた。



「…いいよ。」
(いいんか←思わず突っ込み)

そう言って切原は悟ったように笑った。


「…でも家がないのは嫌なんじゃなかったっけ?(2回目)」
「嫌だけど、アンタと離れるよりはマシ」
「おれダンボールハウスは嫌だぜ?空き缶を集めるのも。(笑)」
「家くらい幾らでも買ってあげる」
「どーやってだよ」


切原はクスクス笑った。
ふたりともそんなこと絶対にムリだって判ってて、でも言ってみたかった。
言うだけならタダ、良く言うだろう?
まるで幼い子供が永遠を誓ってるみたいに馬鹿げた夢みたいな約束。


「…頭流すよ」

越前は、泡だらけの切原の頭にシャワーをかけた。
切原の目の前を滝のように泡の水が流れ落ちる。
越前はゆっくりと手を伸ばして、お湯で少し真っ直ぐになった切原の髪の毛に指を差し入れると、その濡れた頬にキスをした。
さっきあんなに交わったのに、彼を見ていると幾らでも欲情出来るような気がする。
たぶん自分と切原との境目がある限り、どんなに抱いても口唇を重ねても足りないのだろう。
境目がなかったらこんなことも出来ないというのに滑稽なことだ。
自分以外の誰かをこんなに好きになることがあるなんて思いもしなかった。
それは切原も同じようで(何故なら自分と彼は割と同じ人種だから)、越前に見つめられて少し恥ずかしそうに笑った。



「…そういや今何時なんだろーな」
「さぁ、全然判んない」
「昼間っから時間もわかんないでヤりっぱって何かすっげー不健全だな(笑)引きこもりってこんなカンジなのかな」
「それはちょっと違うと思うけど」

この浴室には換気扇しか存在していない為外の様子はサッパリ判らない。


「このままココに泊まれたらいいのにねー」
「流石にオールナイトの風呂屋はねえだろ(笑)」

切原は笑ってまた越前を後ろから抱き締めた。
自分の胸に巻かれたその白くて細い指に口づけると、幸せなのに何だか哀しくて、越前は上から自分を覗き込むその瞳の後ろに腕を回して口唇を塞いだ。







あ、甘ァァァァァァァ!!!!!!!( Д)  ゚ ゚
スイマセン、私はどうやら狂ってるみたいで(判ってるって)
もう言い訳の言葉も見つかりません…政治家の謝罪会見みたいな気持ち…
やっと半分くらいまで来たかな…(疲労)予定では3回で終わるはずだったのに…_| ̄|○
つか意外とエロが長引いてましたねw(だって死ぬほど飢えてるから……_| ̄|○)
越前も赤也も、たぶんお互いを好きになるまでは自分だけが全てだと思って生きてる人種だと思うから、はじめて恋をして存分に悩めばいいと思うよ!
はじめて自分以外に大切な人ができて死ぬほど戸惑うがいいよ。(お前越前と赤也を何だと)
友達なんか要らない〜アナタ以外誰も〜♪(globe)

つーかこのふたりは一緒にお風呂に入るとき、赤也が越前を抱っこしてるといいと思うよ!(背面座位みたいなかんじで…向かい合っててもいいけど)
やっぱり越前が赤也を抱っこするのは無理があるしw U雀さんも言ってたけど越前はブーブー言いながら抱っこされてるべき。
つかそれがいちばん効率のいい体勢なはずだ(何に)
つか越前は赤也の脚を抱え上げるのは無理のような気がする…まぁキニシナイ!!(・∀・)(しろよ)
とりあえず赤也も越前も持久力だけはあるみたいなので(あと100ゲームやる?/赤也はとにかく集中力が凄い
何ラウンドでもすればいいと思います(笑顔)つか赤也はすっごい爪を立てるタイプっぽい………

つかシャンプーの壁紙を探してたんですが見つからなかったので、仕方がないので自分で撮ってやる!って思ったら
自慢じゃないけど家にあるシャンプーはリジョイだけ
というとんでもない事実を思い出して愕然…_| ̄|○
シャンプーに全くこだわらないうえ面倒なのでリンスインシャンプーしか使わないという性質がこんな時にあだになろうとは……_| ̄|○
せめて
チャンリンシャンのあれを使っていれば良かった……(あんまり変わらないよ!Σ(´∀` ))
ちなみに私はマラソンの最中黙って走ってると余計シンドイので近くにいる人に延々と話しかけ続けウザがられていました(本当にUZEEEEE!)