僕たちは多分追われたかったのです
手を繋いで、追われて逃げて、太陽に背を向けて
世界がどんどん狭くなるように
世界がボクとキミだけになるように







カケオチごっこ 2





「ちょっとだけど多めにお金持ってきたよ」
「俺も……ところでお前、えらい荷物少ねぇな」

切原もそんなに大して沢山持ってきたわけではないが(そして大半はお菓子だが)、それでも越前よりは大荷物だ。


「良く言うじゃない、鞄ひとつで、って。」

越前はニヤリと笑って言った。


「…あっそ」

切原は呆れて横を向いた。
越前はそんな切原の口唇を軽く塞ぐと、ばかばかしいけどね、と言った。


「…俺もアンタと一緒じゃなかったらこんなことしようなんて思わないけど」
「…それは俺も。副部長に殺されるかもってリスクがでかすぎるし」


そうだね、と越前は笑った。
別に自分たちは今のところ何に追われてるわけでもないけれど。
逃げるフリくらいしてみたかった。
手を繋いで、追われて逃げて、太陽に背を向けて。
―ごっこでも何でもいいから、多分、追われてみたかった。







切原はそうだ、と言って携帯電話を取り出すと、おもむろに電源を切った。

「…怖いから帰るまで切っとこ…;」
「あ、切原さん頭いい。俺も切っとこ」


越前は自分も携帯電話を取り出すと電源を切った。


「ロッカーにでも預けとこうか?」
「そうだな、今回はいっそ目障りだし」

ついでに家を出る時に着ていた制服をふたりぶん突っ込む。


「ねー、これってさ、もしこの中身が見つかったりしたら心中か何かだと思われるんじゃない?」

越前は楽しそうにクスクス笑った。
切原は遺書でも入れとくか?と言ってロッカーの鍵を閉めた。


「書くことないよ」
「そーいえば昨日英語のノート忘れて、切れ端に取ってたやつがあったな。これ入れとこ」
「切原さん、意味判んないよ」
「えー、英語が苦手すぎて、とか?」

ありえなすぎ!と越前はまた笑った。


「そうそう、とりあえず時刻表取って来たよ」
「何でもいいからさ…とりあえず安いヤツ」
「切原さん、どれ乗ったって値段は一緒だよ(特急は乗らないし)」
「そーだっけ?じゃあ出来るだけ金かかんない短い距離でどっか知らないとこに行けるやつ」
「うーん、探してみる…(てか最初からそれ目当てなんだけど)」



時刻表とにらめっこして、適当に行き先のアヤしい電車を見つけ出して、2人はそれに乗り込んだ。
平日の始発、ただでさえ少なかった乗客は時間と共に少なくなり、1時間も揺られた頃には越前たちの両には誰も見当たらなくなった。


「すげー、がらがら。」
「いいじゃない、思う存分イチャつけるよ」
「オ、オイ越前…」


ガラガラなのをいいことにふたりはキスをしたりイチャイチャくっついたりしていたが、
いつもより一段と早起きしたせいでだんだん眠くなって来て、気がついたらお互い寄り添うように眠ってしまっていた。







(あ、れ…?)


移り変わってゆく見知らぬ景色が目に入って、切原はうっすらとその瞳を開いた。
一瞬状況が飲み込めなくて、頭をフル回転させる。



(そっか、俺越前とカケオチ(仮)してたんだっけ…)


隣の越前は、切原の肩に頭をもたれて寝息を立てていた。
ゴトゴトと心地よく電車が揺れる。



(なんだろ…)


眠っている越前を見ていると妙な気分になる。


(結構睫毛長いよな…)

(何だろ…変なかんじ)

(ムラムラする…とかじゃなくって!!)



こんな知らない町の知らない風景を、学校も違うライバルの少年と見ることになるなんて思いもしなかった。
あの日偶然覗いた青学で偶然出会って。
あれから、まだ半年くらいしか経っていないのに。

こんな関係になったのはいつだったっけ…
草試合をした時はまだだった。
決勝で会った時も。
選抜の合宿で試合をしてからだっけ…
確かに、初めてキスをしたのはあの時だった。
あれからどのくらい時間が経ったんだろう…
切原さん、と名前を呼ぶその声だけが頭の中に響く。


切原がボーっと越前を見ていると、視線を感じたのか少年はうっすらと瞳を開けた。



「…切原さん、何見つめてんの」

酷く眠そうな瞳で越前は切原の頬に手を伸ばして笑った。


「俺がかっこいい?」

「…ばか」


越前は切原の首に両手を回して、耳元でそっと囁いた。

「…ゴムだけは忘れないで持って来たんだよ。今日やる場所あるといいけど」
「バッカじゃねえの」
「バカで結構。マ、その気になればここでも出来そうだけどねー」
「…な!」
「冗談だよ」


越前はクスクス笑いながら切原にキスをした。


「…そう言えばここどこなんだ?」
「…?さぁ。」

時計を見ると午前10時くらい。
結構な時間眠ってしまっていたらしい。


「うわっ、ヤバッ。予算オーバーだ」
「…」
「降りてちょっと戻ろ。」
「…あーあ、幸先不安…」




次の駅で下車して、逆方向の電車に乗り換えて、とりあえず予算ぎりぎりの駅についた頃は正午近い時間になっていた。


「…そーいや今日数学のミニテストがあったんだよな、ラッキー。」
「運が悪ければそろそろガッコが親にデンワしてるかもね」
「ウチの担任は1日や2日じゃデンワしないな。むしろ今日俺が帰らない時の親の対応が見物」
「…言えてる」
「お前んちは放任だから大丈夫だろ」
「さぁ、あの親父のことは良く判んない」

とりあえず警察に連絡とかされなきゃいいけど、と切原は笑った。


「こんな近い街、警察に捜されたらすぐ見つかるね(笑)」
「全くすぎ。」



とりあえずふたりとも空腹だったので、駅前のマクドナルドに入って腹ごしらえをすることにした。


「平日半額があった頃は良かったよなー」

切原はチーズバーガーを頬張りながらぼんやりとボヤいた。


「全くだね」

それなら同じ値段で2倍は食べれたのに、と越前は言った。


「ところでさ」
「何だよ」
「もし、万が一だけどさ、今日の夜あたりケーサツに捕まったらなんて言い訳する?」
「えー‥。普通にサボってふたりで遊んでました、でいいんじゃねーの?」
「こんなビミョーな距離の街で?(笑)」
「ガキだから通じるんじゃねーの?まさかデキてるとは思わないだろ」
「そうだね、まさか俺とアンタがあんなことやこんなことしてるなんて誰も思わないよね」


越前は楽しそうにクスクスと笑った。
切原は少し頬を染めてそっぽを向いた。


店内ではカップルや学生たちが楽しそうに談笑している。
見たこともない色とりどりの制服がちらちらと視界の隅に入った。



「マックなんてどこも一緒だねー」
「ほんと。味も一緒だしな」
「それは当たり前」

切原さん、ついてるよ、と言って越前は切原の口唇を手で拭った。


「キスしたいな…」
「…」
「してもいい?」
「…ここで?」
「ウン」
「…」
「誰も見てないと思うけど(多分)」


すきにしろよ、と切原は小さな声で言った。
うん、と言って越前は切原の口唇を塞いだ。
丁寧に口唇を舐めたあとそっと舌を差し入れる。
歯列をなぞって、舌を絡めて。
そうしてようやく口唇を離して笑いながら言う。



「…チーズバーガーの味がする(笑)」


「…そりゃそうだろ」

切原はちょっと息を上げて言った。


「こんなところで舌まで入れんなよ」
「切原さんが可愛いから我慢出来なくって」
「…あっそ」

切原は溜息をついてポテトを口に運んだ。


「…楽しそうだな」
「そお?切原さんは楽しくない?」
「うーん、まあスリルはあるけど」
「俺は、この2日だけは切原さんが俺のことだけ見ててくれると思うと凄い楽しいよ」

失礼だな、と切原は言った。


「…俺はいっつもお前のことだけ見てるっちゅーの」

それは判ってるけどさ、と越前は言った。


「厳密に言えば俺だけじゃないでしょ?学校のこととか、部活のこととか、色々考えることがあって。そーゆーのが全部俺だけになるのが嬉しいなって。」

ふーん、と切原は言った。


「まー確かに、お前がいっつもマックに来てる相手は桃城だもんな。」
「微妙に論点がズレたよ。ていうか切原さん、もしかして妬いてた?」
「…少し」
「よりによって桃先輩なんかに妬くことないのに(笑)」

越前は嬉しそうに笑ってまた切原の口唇に掠めるような口付けをした。


「…流石に今度はぜったい誰か見てたぞ」
「いいじゃない」

多分二度と来ないし、と越前は言った。


「そりゃそうだろうけど。別の意味で通報されそうだな」
「大丈夫、もう出るから」


越前は立ち上がって、カラになった容器をゴミ箱に放り込んだ。
トレイをその上に乱暴に置いて、切原の手を引いて店を出る。
真夜中の帰り道や人のいない夕暮れ時に手を繋いだことはあったけれど、昼間、それもこんな人ごみの中で手を繋いだことは今までいちども無かった。


「…オ、オイ越前…//」

「いいじゃない」


越前は向日葵みたいに笑って、さっきと同じことを言った。





「太陽の下で切原さんと手ェ繋ぐの夢だったんだ」








お、終わる気配が全く無いッスね…背景画像未だに線路だし……_| ̄|○
だいたいこれはいつ頃の話なんだ…(超謎)←適当すぎ 
学年変わってないのは確かだけど
つかカケオチっていうか越前と赤也が思う存分いちゃいちゃしてるだけの話のような…_| ̄|○
予告ですが、この次はオフロエッチですよ(知らんし!!!)
ええ、私はどうせオフロエッチが好きですよ(逆切れ!?Σ(´∀` ))
つかこいつらいったいどこに降り立ったんでしょーね?(謎)
まぁこの子たちは知らない街だったらどこでもいいんですよ、ガキだから(*´Д`)'`ァ'`ァ
リョ赤中学生ですらないからw リョ赤のテーマはガキだからw 世間はそれをショタと(ry
私はひたすらリョ赤のごっこ遊びにこだわりたいと思います提督!(妙なことにこだわらなくてもいいから)
まーこういうことをしたいお年頃っていうか…あーもう私だめだ
私が死んだら誰かS霖追悼リョ赤祭りとかやってくださいね(アンタ屑帥の時からそれ言ってるよ!!Σ(´∀` ))
とりあえず越前に桃先輩なんかとか言われてる桃城っていったい…_| ̄|○