この酷く寒い部屋で何をしているのかと聞かれたら

ただ貴方を待っているのですと

答えはそれだけしか無くて

他には何も無くて



―ただもしも


その理由がもし仮に貴方を愛しているからだとしたら


私は気でも狂っているのでしょうか









部屋と鳥籠と私







誰もいない静かな寒い部屋で少年を待っていた。
床に落ちた白い包帯が彼の目に入る。
それは少年がさっきまで自らの手首に巻いていたものだった。


「部の人間に怪我したなんて思われたくないですから」

そう言って彼はするするとそれを解いて学校へ行った。
その下にどれほどの惨状があるのか自分は知っているけれど、
少年がそれをどんなに器用に隠して来たのか知っているので何も言わなかった。




コチ コチ コチ コチ


部屋の時計の秒針だけが響く。
見慣れた少年の部屋がやけに広く見えた。
事実、そこには必要最小限のものが置いてあるだけで、中学生に与えるにしては広すぎる部屋だった。




こんな寒い部屋で、ひとりっきりで。
その長い年月の孤独が少しずつ確実に少年を狂わせて来たのは明白だった。


可哀相だとは思うけれど、同情してるわけじゃない。

じゃあ何故。
どうして自分はここにいるんだろう?








「今日は、ここで待ってて下さい」
突拍子のないお願い事をされるのは慣れていた。
少年は気まぐれで、それでいて殆ど狂っているようなものだったから。


「…お前が学校に行くのなら、俺も授業があるんだが」
「ええ、判ってます」
少年は笑顔で返した。


「でも、ここで待っていて下さい」
「…大人は子供みたいに簡単にサボれないんだが」
「…でも、待っててください」
「…そうして欲しいのなら縛って行け。そうでもしないと聞いてやれん」


少年は ええ、と言って笑った。
どんなおかしな道具を取り出すのだろうと思って見ていたら、(流石にこれほど一緒にいると慣れてくる)
少年はどこから入手したのかは知らないが、長い長い真っ赤なリボンを取り出した。
薔薇の花のように深いボルドーのそれを、少年は自分の首に巻いた。
首でも絞めるのかと思えば、彼はそれを器用に蝶々結びにした。


「……」

それからリボンの端っこをベッドの柱に巻きつけて、また同じように蝶々結びにした。


「…鳳。せめて真結びにした方がいいんじゃないのか?」

榊は呆れて言った。
これでは自力で外せないどころの問題ではなく、ちょっと動いた拍子にでもするすると解けるに違いない。
でも少年は、アナタには蝶々結びが似合いますから、とか何とかわけの判らないことを言った。




「…榊さん」

少年は悟ったように笑った。


「…俺のこと、好きでしょ?」

何を根拠に少年がそのようなことを言うのか、榊には判らなかった。


「…だからこれでいいんですよ」

何がいいのか、それも榊にはさっぱり判らなかった。


少年は彼にキスをして、愛してます、とかいつも通りのセリフを口にして、部屋を出て行った。
榊ももう出なければいけない時間だった。
リボンが長いので、いちおうドアのところまで行ってノブを回してみるけれど、鍵が架かっている様子は無かった。






コチ コチ コチ コチ


時計の音だけが響いて、もう遅刻確実な時間になると何だかもう急ぐ気も無くなって、榊は少年のベッドに寝転んだ。


別に立ち上がれないほど酷いケガをしているわけではなければ
(少年と一緒にいるのだから、そりゃあ多少はしているけれど)
外から鍵が架かっているわけでも
ましてや手錠だとか縄だとかそういうもので縛られているわけでもなくて

それでも少年の言うことに従ってしまうのはどうしてなんだろう



真っ白な少年のベッドのシーツを握り締める。
慣れたその感触で、何だか猛烈に眠気が襲って来た。
このシーツは自分たちが情事を繰り返すたびに赤く染まるけれど、少年はいったいいつの間に取り替えているのか、
それは訪れるたびに真っ白に戻っていた。





榊さん―‥‥    




微笑って自分を呼ぶ少年が、実はあれほど蝕まれているなんて誰が想像するだろう。
何とかしてやりたかった。

…それだけだった。
















「榊さん」

少年の声で目を覚ますと、あたりは既に真っ暗になっていた。
少年は細い指でベッドの枕元にあるライトをつけた。



「…もう9時ですよ」
「…え。」


それが本当なら12時間近く眠っていたことになる。
確かに最近仕事が忙しくて、あんまり寝ていなかったけれど。
カバンから携帯電話を取り出すと、確かに夜の9時前だった。
(着信履歴はあえて見なかったことにした)



「…そうか。遅かったんだな」
「…宍戸さんの特訓に付き合ってきたんで」
「……」
「…あ、今妬きました?」
「…バカか」


少年はカバンを床に置くと、やっぱり逃げませんでしたね、と言って笑った。


「…バカ言え。いつの間にか寝てしまったから…」

少年はまた笑って、それでも逃げませんでしたね、と言った。
そっと手を伸ばして、彼の首の蝶々結びを引っ張る。
案の定、それはするすると簡単に解けた。




「…アナタを縛っておくのは、この程度で十分なんですよ。どうしてだか判りますか?」
「……」




「だってアナタは、俺のことを愛してるから」




そんな筈はないと思う。
それだけは絶対にないと思う。




「俺がお前を愛してるって?」
「はい」
「…お前は俺を傷つけるのに?」
「…はい」






― あ い し て る ?          







少年は寝ている彼のそばに腰をおろして、静かに口唇を塞いだ。


「…お前は気が狂ってるんだ」
「ええ、アナタのせいでね」
「……俺のせいにするな」


そのままその細い指をシャツの中に滑り込ませる。
榊はその手を無言で静止した。


「…ちょっと待て。包帯巻いてやる」

少年が外していった包帯を拾い上げて、元の場所に同じように巻いてやる。
優しいんですね 榊さん、と言って少年はまた笑った。
年中柔らかく微笑んでいるけれど、いつだって本気で笑ってなんかいないことくらい彼は知っている。



「…特訓なんかして、宍戸にバレてないのか?」
「あの人馬鹿だから気付きませんよ。部長のことしか目に入ってないし」
「……」






私は籠の鳥
貴方の籠の鳥
たとえあの空にはなされても
そこには檻すら無くても
貴方に縛られていたい籠の鳥








「…アナタも、俺のせいにしていいんですよ?」
「……」
「俺に狂ってください」












―もしも

もしも仮に貴方を愛しているのだとしたら




私は気でも狂っているのでしょうか


















「…愛してます、榊さん」







私は気でも狂っているのでしょうか





とりあえず、気が狂ってるのは間違いなくこの私のようですね(きっぱ)
なんかもうこれは、テニスのコミックスを見るまでもなく失神してしまいそうな内容…何かもうオリジナルの方向で…
つか
チョタファンに殺されはしないか心配(今更心配かよ!Σ(゜Д゜;))
つうか
気が狂ってるといえば聞こえはいいけど(どこがいいんだよ!!)、なんというかもはやただの変態
つかもう何というか…もう自分でも何とも…(気狂いは間違いなくお前だよ!)
もう…何かもう何ともいえないので、気分が悪くなった人はもう
いっそ榊を宍戸に置き換えて読んで下さい(そんな無茶な!!)
それならまだマトモに読めるような…(気のせいかも)
私はそう考えるとよりいっそう気分が悪くなりますが(貴様のようなやつは死ね!!)
あ、そうだ、気分が悪くなった人はいっそ
チョタ受という方向で読んでください(それもどうなの)
ちなみに私も
可愛く攻めるチョタを目指してはいます(もうあらゆる意味で駄目だろ…)

何かもう、チョタサカっていうか私は気狂いが書きたかっただけ?私にはそんな趣味はなかったはずだが…
つかもういっそ何か、
私はチョタに相当別の夢を見てるようですね…(遠い目)
何かもう…
自分の趣味の悪さには呆れます(おいおい)
そして言うまでもありませんがチョタは
金持ちんちの孤独な子設定で(またかよ!←牛尾の時にもそう言ってた彩霖さん)
とりあえず私はチョタに妙な夢を見てますんで。(それはもう判ったから)跡部に負けないくらい顔も綺麗な設定になってますんで。(とりあえず黙るべき)

てゆうかもう私…
マジラブチョタサカに取り憑かれてるんで…(最悪すぎ)
こんな淡々としたあとがき書いてるけど実はすげー興奮してるんで…(変態は死ぬべき)

つかこの話は
チョタサカの中でもすげー書きたかった部分の話です(…)
つかこのタイトルが使いたかっただけとも言う
(本当はthe Last Judgment.をこのタイトルにしようとしてたんだけど、あの話全然部屋の中にいなかったのでやめました)
榊太郎(43)の首にリボンを巻きたかっただけとも言う(黙れ異端人)
本当は足首に巻きたかったんだけど…(もうどっちでも同じだよ!!!(つД`))
籠の鳥っていう響きが好きなんですよ…ハハハ(渇笑)
何か
デンパちっくなポエム(w)まで入ってますが…。まぁもうあれはポエム波ということで(byグルグル)
とりあえず
榊太郎(43)はチョタを好きだって自覚してないんで(そんな馬鹿な!)
とりあえず、
絵ズラを想像するのだけは避けましょう(かなり真顔)