怖かった。


隣には愛しい恋人がいて、ただ一緒に笑って歩くそんな生活が。
―ただ漠然と怖かった。







                                                              砂 時 計 の 底








「跡部ー!」

名前を呼んだら嫌そうに振り返る、その仕草が大好きだった。


「跡部ってば!」
「…何度も言わなくても聞こえてる。」

宍戸はいいじゃん、と言って跡部の腕に飛びついた。

「べたべたすんな、暑苦しい」
「寒いぜ?冬だもん。」

跡部は半分呆れて宍戸を見たけれど、引き剥がそうとはしなかった。


「こないだ教えて貰った数学の問題、もっかい教えてくんない?」
「…俺は同じことを何回教えればいいんだ?」
「だってお前に教えて貰うとボーっとしててぜんぜん聞いてないんだもん」
お前の顔に見とれててvと続けると、跡部は更に嫌そうな顔をした。

「…教わる気がないならもう俺には聞くな。…そうだな、忍足あたりに聞け」
「嫌だよ、お前じゃないと意味がないもん」
「…」
「とにかく、部活終わったらお前んち行っていい?」


わざわざそんな口実を作らなくても、いちおう自分たちは付き合っているのに。
…などと言ってやるほど跡部はお人よしじゃない。

「…勝手にしろ」

キーンコーン…

チャイムが授業の始まる合図を告げる。


宍戸はうんvと言って手を振りながら自分の教室に駆けて行った。










「え〜 …であるからして… 〜で〜で、ね?」




教師の語尾の「ね?」を数えるのも飽きて、宍戸は教室の時計を見上げた。
まだ授業が始まって15分しか経っていない。

ちっ。

時間が勿体無い。心底そう思った。
惜しいのに。
1分1秒だって惜しいのに。

寝るのも食事の時間も…部活の時間ですらも惜しいと思う。
今、この瞬間から自分が死ぬまで。
いったいどれくらいの時間が流れるのか想像もつかないけれど。
その想像もつかないような時間の中の、いったい残りどれくらいを彼と過ごせるのだろう。

そう思うと。
もう他のことなんか何もしたくなくなる。
ただ一緒にいたい。
気が狂いそうなくらい、そのひとつのことだけを願っている自分がいるのに気付く。



「せんせぇー」

宍戸は手を挙げた。

「気分が悪いので保健室に行きます」














「しつれーしまーす」

ガラリ、とドアを開けるけれど、そこには誰もいなかった。


(…ラッキー)

心の中でこっそり呟く。
自分は割と運がいい方だ。


胸ポケットから携帯電話を取り出すと、跡部にメールを打つ。


『今保健室v 誰もいないし気が向いたら来ない?』


彼が来るかどうかは五分五分だった。
跡部は授業を受ける必要がないくらい頭はいいけれど、意外と真面目だし。
まぁ来なかったら来なかったで、ここで彼のことでも考えながら寝ていた方が授業を聞いているよりはよっぽど有意義だ。


邪魔な髪の毛を解いて、ベッドに横になる。
たいして眠くもなかったけれど横になった途端に眠気が襲って来た。
布団というものは魔物だ。


(…跡部)


気がついたら彼の名前を呼んでる。
朝も昼も夜もずっと。


(…跡部)


今はこの繰り返しだ、―今はまだ。
その音が途切れるのはいったいいつのことだろうか。

まさか一生なんてことはないだろう。
それでも2年くらいは持つかな。
―半年とか…そんな近い未来だったらいやだと思う。








「…」

目の前で爆睡している宍戸を見て、跡部はため息をついた。
自分から呼びつけておいてこのザマだ。
最も、保健室でイチャついてやろうなんて思って来たわけじゃない。
彼は何と言うか、あんまりにもアレなので、一言くらい諭してやろうと思って来たのだ。


跡部は宍戸の髪の毛を引っ張った。

「起きろ。阿呆」
「…んー」
「 起 き ろ 」

容赦なくぐいぐいと引っ張ると、宍戸は恨めしそうに跡部を見たけど、それが愛しい人だと気付いてすぐに笑った。


「…あとべーv 来てくれたんだv」
「勘違いするな。貴様の腐った根性を叩き直してやろうと思って来たんだ」
「そんなんどっちでもいいよーv うれしー」

宍戸は手を伸ばして跡部の腕を掴んだ。
本当に嬉しそうなので、跡部はため息をついて宍戸の身体を起こしてやった。

「…無駄に授業をサボるな」
「だって、お前に逢いたくなったんだもん」
「毎日逢ってるだろ」
「…それでも逢いたい」

宍戸はそう言って跡部の腕に額をつけた。

「…ずっとこうしていられたらいいのに」
「気持ちの悪いことをほざくな」
「ひっでぇの」

宍戸はクスクスと笑った。
跡部はもう何も言う気がしなくなった。
何を言っても無駄なことは明白だった。


「…それで?どうしたいんだ?」
「とりあえずキスしたい」

宍戸が物欲しそうな目で見るので、跡部は仕方なく彼の口唇を塞いだ。
桜色のそれを暫く塞いだあと、先ほど抱き起こしたのは無駄だったとばかりに押し倒す。
黒い髪の毛がぱらぱらとベッドに散らばった。


「…別に、そこまでは求めてないけど。」
「…お前がして欲しそうだから」

跡部はそれだけ言うと、もう一度キスをした。
彼の真下で物凄く嬉しそうな顔をする宍戸を見て、判り易いやつだと思った。








『…ずっとこうしていられたらいいのに』



何気なく言ったけれど、それが本音。
繋いだ指先から感じる熱が消えなければいいのにとか、いっそ時間が止まればいいのにとか、そんな少女みたいに馬鹿馬鹿しくて女々しいことを本気で考えるけど黙っている。


好かれている自信はあるけれど。
愛されている自信はあるけれど。
それが永遠のものだという自信は皆無だった。


髪を梳くその手が。
自分の首筋を辿るその口唇が。
何度自分の身体に証拠を刻み付けても満足出来ない。
ただ漠然と怖かった。



―失うその時が来るのが怖かった




なぁ跡部、俺たちが一緒にいられる時間はあとどれくらい残ってる?



お前が俺を見て微笑むのが
お前の大きな瞳に俺が映っているのが
手を伸ばせば確実にお前に触れることが出来るこの距離が

時計の針がゆっくりと、でも確実に時間を刻むのを見ているのが
ひっくり返した砂時計みたいに、たださらさらと時間が流れてゆくのが


…怖いと思う




「…跡部… 俺のことすき?」
「聞きたいのか?」
「…聞きたい。」
「……」


跡部は宍戸の耳元に口唇を寄せると、彼にさえ聞こえるか聞こえないか判らないような小さな声で何か囁いた。












それでも

何だかんだ言って彼は自分のワガママを全部きいてくれるから。
もしもずっと側にいて欲しいと言ったら叶えてくれるかも知れないと少し思う。







―絶対に言わないけど。




とりあえず、今回はいつもにもまして語りが長いので(彩霖さん、いつでもハマってるときだけは真剣w)

何とゆうか…私の書く跡宍も相当微妙ですね。(妙に冷静)
つーか何か世間からかけ離れていってますけど気にしません(お願いだからたまには世間を気にしてください!!(つД`)/土下座)
つーか跡宍ですんで…宍跡じゃないんで…(弱)つか宍跡ってのはトリシシの影も形もなくていいですよね(お前はそんなにもトリシシが嫌いなのかよ!Σ(゜Д゜;))
何とゆーか、跡宍小説の下にトリシシ小説とかあるとわけもなく悲しくなるので(もう判ったから)
つか私は宍戸と跡部のふたりのペアが好きなんだなぁ、とつくづく思いました…
もうふたりだったらいっそどっちが受でもいいんで、他の人と絡めるのはよしてください(こんなところで哀願されても…)

つーか何か結構苦労した割に書きたいことがうまく書けなくてガッカリです(いつも言っている)
何か結構シリアスを目指したんですが…ロード(THE虎●竜のうた)みたいな。(古すぎだから…(つД`))
♪揺すって起こした俺を〜恨めしそうに睨んで〜俺の手を握り返し〜愛が欲しいと言った〜♪
↑同じなのはこの部分だけだろ!テーマが全然違うから!!Σ(゜Д゜;)ありえないから!!
つかどっちかって言えばまだ神田川だよね。♪ただあなたの優しさがこわかった〜♪←あんた城海の時も同じこと言ってたよ…

とりあえず何てゆうか、幼い恋につきものの漠然とした不安を書きたかったんだけど。(謎)
人間が出会う順番というのは意味があると思いまして。
たとえば、大学とかもう大きくなってから出会った人っていうのは、一生の付き合いになったり結婚したりする確率も当然高いわけで。
その点幼い頃出会った人ってのは、その後の長い長い時間の中で、必然的に道が別れてしまう。(別れた道がまた交わることもあるけどね)
だから、人生の中で一番好きになれる人といつ出会えるかによって人生が変わるというか…(意味不明)
何せ、生涯ずっと一緒に生きてゆける権利が与えられるのは一応日本では人間ひとりにつきたったひとりですからね。
まずこのシステムに私は異論を唱えたいわけですが(異端人は黙ってやがれ)
私が彼らと同じ年だった頃は、わけもなくそのことに怯えていたので、ちょっとこういうのを書いてみたんですが、
そもそもそんなことを考えてたのは私だけなんですかね?(知らない)他の人のことは聞いてみたことがないので判らないけど…考えませんでしたか?(聞くな)
つくづくバカな子供だったと思いますが、
跡宍がそんなバカな子供だと思うと私は寒気がするくらい萌えます。(わけの判らない萌えポインツだな)
私は跡宍にそーゆー夢を見てるんですよ(どんな夢だよ)
ついでに教師の語尾の「ね?」を数えるのも私が中3の時流行ってたので使ってみました(どうでもいい)

でもちょっと跡宍で書いたのは失敗でした(挫折)せめてひよジロにすればよかったかも(遅いうえひよジロでやったら全然違う話になると思われ)
でも跡宍でシリアス書こうとしたらこれが限界。(限界早いな!!)
最初は跡宍でシリアスだったら逆レイプくらいが限界だなと思ってたんですが、いざ書いてみたらそれも無理でした(挑戦したのかよ)
だいたい逆レイプ(つまり宍戸が無理矢理迫って抱かせるのね)とかしても、跡部ぜったい抵抗しないし。(何を根拠に…)
つーか跡宍はもっと何か…違うんだよ。そんな悩み(どんなだ)とは無縁なんだよ。太陽に怯えたりとかしないから。時間に怯えたりもしない
だってヤツら自分と相手しか見てないし(まだ言うか)跡部はまだちょっとはまわりを見てるけどw

でも宍戸は跡部にすきすきすきすきすき(略)言ってるのは、跡部に愛されてる絶対の自信があるからで、
もしその自信が無くなったら簡単に跡部から逃げますね、あの子は。跡部を縛ったりするのが嫌なんですよ。(はぁ…)
何というか、宍戸は
ビビりの不良ってかんじなんで…(そんなバカな!!Σ(゜Д゜;))
だいたいあの長髪で、趣味がビリヤード、更にB型って時点でもうエセ不良は決定ってかんじ。(真の不良にあらず)
女々しいのは確かだけど、どう見ても姫じゃない(黙れ異端人)
でもこの小説の宍戸はいっそ潔いほど女々しさ全開ですね。まぁ宍戸が女々しいのはオフィシャルなんでアリという方向で(死ねお前)

何とゆうか跡宍はそういう自然な甘さで。(意味が判らんうえいったいどの辺が甘いのかすらも謎)
何とゆーかオレンジジュースってかんじ。砂糖を入れなくても天然で甘い。だからわざわざ跡宍で甘いのを書かなくてもふたりがいればそれだけで甘いというか(謎)
跡宍を甘くしたらそれはつまりオレンジジュースにガムシロップを入れて飲むようなもの
世間には↑これで飲む人もいるみたいなんですが、私には無理です(つД`)

そういやこの壁紙は、何かもう素材屋とか探すのが面倒だったんで、
適当に携帯のカメラで自分の部屋の電気を撮った画像を使った。
(貴様もう少しヤル気を出せよ!!←いや、こう見えてヤル気だけはあるのだよ)

ってゆーか、ゲームの話だか判らないけど例の特訓の時やっぱりマジで跡部は陰から見てたみたいで(いや確かな情報かは謎なんですが)、
「やっぱり見てたのかよ跡部ェ!!!ぜったいにぜったいにそうだと思ったよォォォ!!」(怖)
みたいな感じで箒を握り締めて(掃除中だったんだ…)かなり真剣に跡宍について考えたりしたんだけど、何か相当興奮してたみたいで全部忘れました。(この人バカ…?)
まぁ跡部はぜったいに宍戸に気付かれないように見てたんですけどね。基本は放置です。駆け寄ったり止めたりそういうことは絶対しない。跡部景吾は絶対にしない。
ふらふらで仮に倒れたとしても絶対しない。まー宍戸は倒れるようなタマじゃないですがw
つかあの特訓はやっつけ仕事というか、つまりは特に才能がないからああするしかなかったわけでそういうところも何か凄く跡宍って萌えだと思う(チョタは完全無視かよ!)
なんてゆーか、このふたりは「イタズラなKISS」みたいなもんですから…(それ、あんた前も何かのカプの時に言ってたよ…)

どうでもいいけど語りが長すぎですね。(死んでください)
いつも再録集の編集作業のときに、自分の語りの長さに引くんですが、萌えてる時は語らずにはいられません先生!(つД`)

好き放題言ってすいません。(好き放題言い過ぎだよ)