Delicious



…腹減った、と切原は言った。
切原のプレステを占領してゲームをしていた越前はちょっと首をひねって、ふーん、と言った。


「お前は腹減ってないの?」
「さっきアンタの母さんのゴハン食べたでしょ」
「俺は成長期だから消化が早いんだよ」
「ふぅん」
「お前よりデカいし」


そう言ったら越前はちょっとムッとしたようだ。

「…何か買ってくれば?」
「メンドー」
「下行けばお菓子くらいあるでしょ」
「それもメンドー」
「ワガママ。」


越前はそう言ってテレビに視線を戻した。
コントローラーを握る自分よりひとまわり小さな手。
いつもいつもこんな小さな手に翻弄されてるんだよなぁ、と思うと少し情けない。
ぼんやりとベッドの上からゲームに勤しむ越前を見ていると、視線を感じたのか彼は振り向いた。

「それとも一緒に何か買いに行く?そう言われてみたら俺も腹減ってきた…」


そんな言葉を紡ぐその紅い口唇が酷く美味しそうに見えて、切原は思わずその口唇をペロリと舐めた。



「…なんかイイニオイすんな、お前。ゲンシュー(幻匂)かなぁ。」
「…!?」
「むしろお前を食べたらオイシイかも。」


そう言って笑うと、越前は大きな目を見開いてポカンとした。


「なに、誘ってるの!!?」

まだ8時だよ、と越前は言った。
ばぁか、と切原は笑った。


「ホントにそう思ったんだよ。お前の口唇が美味そうでさ」
「アンタの方がよっぽどオイシソウだけど。」
「俺がー?肉ついてないし、食うとこ何にもないぜ」
「それは俺も一緒でしょ」
「いや、お前は絶対オイシイと思う。チビだから柔らかそうだし。」
「(ムカッ!)…どうやって食べるのさ」
「えー?生かなぁ?口唇に噛み付いて、血を吸って、骨をかじって」
「ホラー映画の観すぎ。」
「どうかな、俺は結構そーゆーのに感じるタイプかもよ?」


切原はニヤリと笑った。
へぇ、と越前は言って、コントローラーを床に置いた。


「俺のテクじゃあ感じられない?」
「違う話にすりかえるなよ」
「一緒だよ」


切原の身体を流れる赤い血が透き通って見えるその口唇を、越前は噛み付くように塞いだ。
遠慮もせず舌を挿入するとその口内どころか彼の全てを犯し尽くしてしまいたい衝動に駆られる。
切原が身をよじって息を吐こうとするのを、させまいと両手で押さえつけて、逃げるように動く舌を自分のそれで絡めて捕まえる。
―逃がさない、絶対に。



「…まぁ、キスとかセックスとかって食べるのとそう変わらないかもね」
「…?」

ようやく満足して口唇を離してからそう言うと、息を上げた切原がポカンとして越前を見上げた。


「食べるってそういうことでしょ?ソレを自分の一部にしてしまいたいって」
「まぁそうとも言えるかな」
「確かに俺はアンタを食べたいのかも知れない」

越前は少し笑った。


「食べたらもうこんなこと出来なくなるから食べないけどね」

俺は食用かよ、と切原も笑った。
まさか、俺の大切な恋人です、と越前は言った。



「でもお前の口唇はアメみたいでホント甘そうなんだけどな」
「…甘かった?」
「いや、ぜんぜん。甘かったらマジで喰ってる(笑)」


切原は楽しそうに笑った。
越前はもう一度その口唇を塞いで、コンビニ行こうか、と言った。


「うん」

切原はその大きな瞳をくるくると輝かせて笑った。






―口唇もそうだけど、アンタのカラダの中でいちばんオイシソウなのはその赤い瞳だと思う。





余りにも腹が減って死にそうで、性欲と食欲はいっしょだよなぁ、と思わず悟りを開いて(どこが)書いた話。
食べるのも抱くのも一緒だよ。(違うよ!!※S霖さんは空腹の余り頭がおかしいです)
だって体内に取り込みたいっていうか自分のものにしたいっていうか…とにかく似たようなもんだよ。
ちょっとだけリバっぽくなるように頑張ってみたんですがどうでしょうか。(知らんよ)
むしろもしかして猟奇なのか、これってw(うけない)
赤也の目は砂糖漬けのキャンディにしたらおいしいと思います(S霖さんは空腹の余り頭がおかしいです)
越前はから揚げにしてもいいかも。骨ごと喰えそうです。(とりあえずお前小説とか書いてないでなんか食って来いよ)
つーかあの子たちはふたりとも普通にオイシイと思います(お前は『海と毒薬』を読んで出直してこい!)
真田はぜんぜん美味しくなさそうだ(珍味っぽい)
だめだ、腹が減りすぎて死ぬ……
幻匂ってのは私が考えた造語です。うちの家では浸透してました。
腹が減ると腹が減りすぎて幻匂がするんだよね…(真顔)

□追記
なんか昔書いた話。拍手に延々と置いてた記憶がw
壁紙探すのが面倒だったのか謎だが拍手から落としたまま放置されてたw(ぉ
本当にお前は海と毒薬を読んで出直して来いと言いたいw
061008


ブラウザバックプリーズ