…ヤバイような気がする。


最初はただ、そんな些細な危機感だった。
気付くのが遅れた、そんな小さなミスが致命傷になる。
自分が生きていた時には無かったけど、今ではこの世界にそんな病気があると、いつか宿主サマに聞いたことがあった。






carcinogenesis.




「バクラ」


ベッドの向こうで彼が呼ぶので、窓枠に掛けた足を止めて振り返る。


「なに?」



でも遊戯は何も言わずにただ手招きするだけだったので、バクラは仕方なくくるりと踵を返して、つい先刻までいたベッドのそばまでトコトコと戻った。


「王サマ、口ついてんだろ。」


喋れよ、と言うと遊戯はにんまりと笑ってバクラの口唇を軽く塞いだ。


「オレの口はこういうことしか出来なくてな」
「バッカじゃねえの」


で、なに?バクラがそう口にすると、遊戯はちょっと黙ったけどすぐに口を開いて小さな声で言った。



「…あんまり直ぐ帰んなよ」
「?」


質問の意味が判らなくてバクラは一瞬きょとんとしたけれど、暫く考えてからヒャハハと笑った。


「だって、早く帰らないと明日学校だろ」
「盗賊様が学校かよ。つか帰ったって寝るだけだろ?どこで寝たって一緒だろーが。」



本当は特に意味はない。
彼の隣に朝までいたことがないのは、この敵である彼とそこまで馴れ合うのはどうかと思ったし、何よりも自分たちは別に恋人同士というわけではないし。

理由はただそれだけだった。―否、そう思い込んでいた。



「そりゃあそうだけどよ」
「・・・・・」



―ああ、王サマ淋しいんだ。誰でもいいからそばにいて欲しいくらい。
バクラはそう思った。
自分はそんなの慣れてるし、思ったことすらないけれど。


(王サマも可愛いとこあんなぁ)


―まぁ、この王サマはひとりになんかなったことないからしょうがないかな。
バクラはその時不思議なくらい穏やかな気持ちで、不思議なくらい寛容で、気持ち悪いくらい優しくしてやりたいと思ったので、素直にベッドの中に潜り込んだ。


「しょうがねえ王サマだなぁ。オレ様はぬいぐるみじゃないんだぜ?」

フウと溜息をつくと、遊戯はこんな可愛くないぬいぐるみがあるかよ、と毒づいた。


「あーでもヤんなよ?宿主サマに怒られるのはオレ様なんだぜ?」
「判ってる判ってる」


遊戯はヤるなと言われたので、持て余した両手をバクラの背中に回した。



「…王サマ、暑い」


季節は真夏だった。
彼とこんなことをするようになって一体どのくらいの時が流れたのかと、バクラはうっすらと思った。
遊戯はじゃあ、と言って冷房の温度を限界まで下げた。
―なんて非生産的な。

やりもしないでただくっついているだけなんて、遊戯もそうだけれどバクラも初めての体験だったので、自分も持て余した両手を彼の背中に回した。
―ただそれだけだった。





(…?)



ふわり、と甘ったるい匂いがバクラの鼻を刺した。
終わった後にシャワーを浴びたから、多分石鹸の匂いだと思う。
自分のものか彼のものかそれすらも判らないけれど、とても気持ちが良くなってバクラは瞳を閉じた。




―ヤバイような気がする。
頭の片隅で何故だかそんなことを思った。
何がどうやばいのかなんて判らないけれど。
でもとにかくとても気持ちが良かったので、バクラはその警告を無視することにした。




―聞こえないの?

―サイレンが鳴ってるよ?



(…そんなもの聞こえない)




何か柔らかいものが口唇に触れる。
それは考えるまでもなく彼の口唇だったわけだが。



「―オイ、ヤんなって言ったろ」
「うるせえな、キスだけだろーが」


遊戯は止める様子もなく、バクラの口唇を割り開いた。




「―ん…」


(…ホント、しょうがねえ王サマ)


甘いキスに応えながら、ぼんやりとそんなことを思う。



―ヤバイような気がする。
―ヤバイような気がする。


そもそも古今東西、ヤバイと思った時はもう既に遅いと相場が決まっているのに、この時の自分はそんなことすらも知らなかった。



(…なんだろう、これ)




―これ以上近づいたら、駄目だよ




(どうして…?)




―どうしても。






声が聞こえたのはそこまでで、あとは自分の脳が聞くことを拒んだ。
この日、心の鍵を外してしまったことで後々自分が死ぬことになるなんて夢にも思わずに。
その微かな感情は、着実に心に根を張り、身体の隅々までそれを伸ばし、全感覚と全神経を支配して。
―近い将来、確実に自分を滅ぼすというのに。

後から思えば本当にバカだったと思う。
―知っていたとしても、止められたかどうか判らないけれど。






「なんか恋人同士みたいだな」
「…アホか」



少し笑って言うと、その口唇は再び遊戯に塞がれた。
仇である彼からこんな風に求められるのは、変だけど最初から悪い気はしなかった。
自分を包む微かな香りが気持ち良くて、だんだんと脳が溶けてゆくように眠くなって行く。
バクラはゆっくりと意識を手放した。
―鳴り響く小さなシグナルに聞こえないフリをしながら。



ヽ(゜∀。)ノ
サリンさん遂に狂ったよ(( 'ρ`))アヘヘヘ
相当カオス全開なバクラですが、何かもう…いいや。(貴様)
つか全感覚と全神経は同じような気も…まぁいいや(お前)
今まではかなり無理して(無理してたんか)甘さ半減くらいで書いてたんですが、

なんかもうどうでも良くなった
ので(オイ)自分に正直な話を書くことにします。(キッパリ)
いいの、浮いてるのはいつも。(そんな堂々と)
リョ赤も相当浮いてたしなァw(遠い目)リョ赤に浮いてるもクソもない気もするけどナー
つか今気付いたけどビミョーにU雀さんのスピ左小説に似てる気がw(オイ)U雀さんゴメッ!!
つか考えてみたらスピ左もまぁ言わば屑帥テイストで王バクと似てるよねw
バクラは、KOIをしてしまったから復讐が果たせなかったのです。(まだ言ってるよ)
心を許してしまったのがいけなかったのです。(はぁ)
あと王サマは決して誰でもいいわけではありませんが、バの人は阿呆なので気付いてません。
タイトルは英語で「発癌」(不吉!Σ(´∀` ))何て読むのかは知りません。(キッパ)(…)
KOIとは癌のようなもの…(はぁ)
つかこのネタ城海の時も屑帥の時も書いた気がするけどまぁいいや…(投げやり)
王サマの喋り方がビミョーに違うような気がするけど気のせいってことで(ぶっころ)
考えてみればこれから雑音と残像あたりに通じてる気もするね…(無理矢理)
つか抱き合って寝てるバの人と王サマの絵ズラを想像すると寒くなってくるので、
みんな遊戯王のコミックスは手の届かないところに保管するように。(お前チョタサカの時も同じこと言ってたよ)
声は宿主サマのです。(そんな思い出したかのように…)
050828(今更日付を入れることにした)


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