赤い色が好き
 聞いたことのあるエンドロールが流れている。
 そうだ、今日は土曜日で―ちょうど23時くらいにベッドに入ったから、現世でもやっていたニ時間サスペンスドラマを見ていたのだろう。

「おまえサスペンス好きだよなぁ」

 前にも何度か見ているところを見たことがあるので、てっきり好きなのだろうと思ってロビーのソファーで画面を眺めている虚に聞いてみる。
 白い虚はチラリとこちらを見ると、少し首を傾げた。

「んー好きって言うか、ストーリーはどうでもいいけど。でも人が死ぬやつはなんでも見るよ」
「…。」

 虫も殺さない―と言えばただの贔屓目なんだろうけれど、こんなかわいい顔をしておいてしゃあしゃあと良く言う。


「まぁ、たまには感動したりすることもあるけど…血が流れないシーンは印象に残らないからすぐ忘れちゃうし」
「ひでー趣味だな」
「趣味じゃないよ、ほ・ん・の・う。俺はそういうものから出来てるって、何回も言ったでしょ」
「わかってるよ、おまえは俺の霊力で闘争本能の塊だってな。でもそれにしちゃかわいすぎるから、あんまり変なもん見るなよ」
「…いちごもいい加減、めちゃくちゃなこと言ってないで目ェ覚ました方がいいよ」

 ―目なんかとっくに覚めている。この子が己の霊力だと知っていて好きになったのだから。


「でもそれにしたってもうちょっと教育にいい番組を見ろよ。それに、戦うやつだったらプロレスとかあるだろ?」

 エンドロールが終わったのを見計らって―来週の予告が入る前にテレビのスイッチを切る。虚は自分の言葉を聞いて―意図して予告を見せなかったことに気付いたのか、大袈裟に鼻で笑った。

「格闘技には興味ないよ。殺すために戦ってないものを見ても萎えるからフィクションのがマシ。つか、教育ってどういうイミ?子供じゃあるまいし…」

 そうは言うけれど、自分からすればこの子はまだほんの子供みたいなものなのだ。自分の半分も生きていないくせに、と思ってしまう。一瞬脳裏に教育テレビで朝やっているような番組が浮かんだが…流石に言わなかった。


「…でもこうゆう番組はさ、おまえが見るには結構設定がエグいだろ?」
「それをいちごが言うの?俺はいちごの子供とかじゃなくてエッチまでしてる恋人だよ。しかも恋人じゃなくて浮気相手に近いかもよ。―だとしたら、そのエグい設定とおんなじだろ」

 余程気に障ったのだろう―大きな瞳を吊り上げて、わざとそんな風に言ってみせる。
 まぁ虚の言うことはある意味ではその通りで、ただ自分はこの子にあんまり―現世の汚いところを見せたくないだけだった。

「いまさら浮気はねぇだろ」
「まーね。でも俺といちごど恋次と―三人で付き合ってる以上よそから見たら浮気みたいなもんだよ、違う?」

 大きな飴色の瞳が瞬きをしながらじっと自分を見つめてくる。息が止まりそうに綺麗な目だと思った。

「…そうだとしてもおまえはきれいだよ」
「なにそれ。そーゆう話じゃないだろ」
「だっておまえはそんなに殺しが好きなのに―もう何年もワルイ虚しか殺ってないのはなんで?」

 そう言って人形のような白い指にキスすると虚はちょっと笑った。


「いちごが好きでそれが一番になっちゃってるだけだよ。他は二の次になっちゃうの。…でもまぁ、俺は誰と戦う時でも殺すつもりでしかやんないよ。そこは変わってないよ」
「俺が相手でも?」
「そりゃあ俺がいちばん殺してみたい相手はいちごだよ。―ずっと」

 たぶん本気で言っているのだろう、虚はそれが己の真の望みだとでも言うようにふわりと笑った。

「なんで?動機は?」
「動機もなにも本能だもん、しょうがないじゃん」


 ―奪うために生まれた、何度も本能と連呼されなくてもそんなことは知っている。
 この子の色が上から下まで全て真っ白なのは―きっと血で赫く染まるためだと思うくらい、この子ほど返り血が似合う存在は知らなかった。―死神という名はこの子にこそ相応しい。
 そして自分は正直この子を甘やかしていて―今だってそんなに欲しいのならこの首をあげようかとかそんなことを言いそうになるのを堪えている。

 こちらの反応をじっと見ている金色の瞳に口付けて―ソファに思いっきり押し倒した。そうでないとこの口唇はぼろぼろと余計な言葉を零してしまいそうだったから。

「ホラみろ、いよいよサスペンスのりになってきた…!!」

 押し倒された虚はじたばた暴れながら忌々しげに言った。確かにサスペンスで良くあるシーンだが、自分はこんなイスの上でこの子を抱いたりはしない。


「…おまえが殺らなくても、どうせ俺たちの最期はこうだよ」
「こう?」
「死ぬ時は一緒だって―いつも言ってるだろ?」

 真顔でそう言って抱き上げると、虚はケラケラと笑った。


「いちごの方が犯人みたい」

 ―その通りだとぼんやり思った。








***

私はママンと妹と一緒に小さい頃からずっとサスペンスを見て育ってきたのでサスペンスっ子なのだが、冷静になるとサスペンスとか教育に悪そうwとふと思って書いてみた話ww
クオリティがアレなのは(略
しかし最近はエグいというか本気でヘコむサスペンスも多いwww^p^
昔は純粋に面白い作品が多かったんだけどなー密室トリックとかwwwwwそれはないだろ!みたいなww
犯人の爆アド完全犯罪で逃げ切る話とか結構あったしな。。。倫理上色々アレなんだろうが作品としてはすごく良かったのにな。
サスペンスといえばいつぞやのひさもとさんのアレは(一部で)伝説になっているなwwwそりゃそうだわwwwあれはないわwww見てたこげクリはふたりして顎が外れそうになったからね!www
…ってサスペンスの話になっていた!だってサスペンスが大好きなんだもん!←
ちなみに白い子は殺人というよりは血が見たくてサスペンスを見てるってことでww
毎日更新してるとだんだんタイトルが投げやりに!!www←
これは赤也の時に使おうかと思ったタイトルだった記憶があるwww
まぁクオリティについては(略
2009/11/22 (Sun) 5:21




毎日(?)連載の方の話を考えていると、やっぱりこの頃のこの子らは若いな…(オイオイ)
それにしてもひさもとさんのサスペンスはレジェントすぎるwwww
091129