act08


「ほら、イっちゃっただろ?」
「…ッ」
「どう?」
「よく…わかんな…あ、まだ…」

 断続的に痙攣する内部に指を締め付けられる。―女の子だから達している時間も結構長い。
 快感と戦っているしばらくの間、抱いて髪を撫でてやる。


「…大丈夫?」
「ゥ、ン…」
「きもちよかった?」
「多分…」
「どーする?」
「どーするって何…」
「続きもする?」

 落ち着いたのを見計らって軽く口付けながら聞いてみる。この子の口からホシイと言わせたくて―ついこんな聞き方になってしまうのだが。


「…しないって言ってもどーせするんでしょ」
「んなことねーよ。俺はいっつもおまえの望むとーりに(略)」
「それはさっきも聞いたよ…そんなに言わせたいの?」
「うんv」

 白い虚は溜め息をついて背中に腕を回した。


「―ホシイよ。いちごが…ちゃんと全部ホシイ。」

 こうやって強請ることを教えたことはないけれど、長い間付き合ってこの子はこういうことも少しずつ覚えてくれた。

「ちゃんと?」
「そぉだよ…ちゃんと。」
「でも、大丈夫?」
「なにが?」
「だって、おまえはじめてなのに…言っとくけど今のはほんのちょこっと、ゆび入れただけだぜ?」
「だいじょーぶだってば!いちごもどーせ余裕ないくせに!!」

 さすがにしつこいと思ったらしく、虚は自分の死覇装に手をかけた。
 昔はこんなことは―それこそ全然出来なかったくせに。細い指がするすると死覇装の帯を解いて、身に纏っていた死覇装を脱がしにかかってきた。


「いっつも俺ばっかりハダカにして…!いちごは不公平なんだよ!!」
「脱いでほしいならいつでも脱ぐのにv」

 かわいいなぁと思いながら脱がされかけた上着を脱ぎ捨てて―虚の脚の間に手を這わせた。


「もうちょっと濡らしてから…出来るだけゆっくりするけど―慣れてねーからたぶん相当痛いぜ?」
「わかってるよ!男の時だってふつーに痛かったよ」
「!?…痛かったの?あのヤロー、おまえを抱くのに痛くしたの!?」
「痛くしたっていうか…別にやり方は普通だったと思うけど…。はじめてだったからしょうがないだろ。そりゃちょっとくらいは痛いよ。いちごも今言っとくけど痛いよ、って言ったじゃん」
「そりゃそうだけど…でもイヤなんだよ!…そうだよな、俺はおまえの恋人なんだから別に遠慮することないよな!」
「ほら、ヤる気になったでしょ?」

 いちごがビビってるから…、と虚はちょっと笑った。


「…俺も、いっつもしろが欲しいんだよ。」

 頬に手を添えて言ってやる。こうやって名前で呼ぶといつも―ちょっとたじろいでしまうところがかわいらしい。正確に言えば正式な名前というわけではないが―自分にとってそれはこの子の名前だ。
 そんなこと知ってるよ…と、蚊の泣くようなちいさな声で言い返されたので―本当に今のこの子を全部…自分のものにしてしまおうともういちど口唇を塞いだ。





*

 しばらく丹念に舐めたり吸ったりして何度かイかせたら、いい加減にしてくれという目で見られたのでさすがにそろそろ入れることにした。処女だから内部にはあんまり侵入できなかったけれどこれだけ濡らせばたぶん大丈夫だろう。
 ―まぁ、それでもまだ問題はある。


「俺、上からおまえに体重かけちゃまずいよな…」

 体重さえかけなければ十分前から繋がれるはずだが、いつも抱き合ってしているのでそれはそれで物足りない。
 何度もイって目がとろんとしている虚のカラダを抱き起こすと、枕元の避妊具を開封した。元々する時はいつもつけていたしいつも通りなのだけれど…でもまぁ、確かに昨夜はつけなかった。あの時自分のものが(自分のじゃないかも知れないけど)この子の奥まで到達して…とか避妊具を見ていると思わずそういうことを想像してしまいそうになる。当然昨夜のこの子は男だったわけだけれど―浦原の話だとそれもあやふやだ。まぁ自分と同じ姿をしたこの子を初めて見た時からずっと―これだけかわいかったら実はこの奥に子宮があるんじゃないのか、とかそんなことを何度も思った。もちろん口に出したことはなかったけれど。
 ―まぁ、そんなことを考えていたらすぐにガマンできなくなるので一護は首を振った。


「妊娠中は騎乗位あんま良くないらしいから…抱っこするから、それでしよ?」
「俺が入れるの?使ったことない場所なのに…」
「手伝うから大丈夫だよv」
「つーかそれじゃああんまりきじょういと変わんなくない?」
「かわるよ、深さが違うだろ?騎乗位じゃ入りすぎるし、おまえの子宮をガンガン突いちゃうからv」
「あー、もうそういう説明はいい!」」

 あからさまなことを言ったらかぁっと頬を染めた虚の細い腰を支えて、入口に自分自身を宛がってやる。

「ここはもうぐちゃぐちゃだし…たぶん大丈夫」
「あ、ッ…」
「このまま腰落としてみ?」
「ぅん…」

 この体位自体は慣れているしいつもの調子で入れようとした虚だったけれど、さすがにいつもとはカラダの事情が違う―こともあるけど、何よりもやっぱり痛いようで顔を顰めた。

「い、た…ぃ…」
「痛くてもいい!って言ったのおまえだろ?」
「わかってるよ!別に痛いのなんかこわくないんだから!」
「あーもーそんなムリヤリ入れようとすんなって…ほら、もうちょっと力抜いて?」

 そこに指をやると―びくん、とカラダが震えた。

「ちょ…!」
「今更照れんなって。ココさえ入ればどうにかなるから」
「うん…」
「もっとちゃんと掴まって、ホラ…」

 腿を持ち上げて入りやすいようにちょっと位置を調整してやる。男なんだしこの子よりはそりゃあ知識もあるのだ。それに前から軽かったけど、女の子になったら本当に恐ろしく軽くなってしまって―持ち上げることは容易かった。


「あッ―‥」

 背中に腕を回して口付けながら腰を落としてやる。
 十分慣らされた入口は待ちわびたように口唇を開いて割とあっさり自分を迎え入れたけれど、その奥の使われたことのない通路は侵入者を排除しようとぎゅうと締め付けた。
 当然、抵抗するわけでもないただの脆弱な膜は簡単に破れてしまって(もちろん感覚的に自分でそうと判るわけじゃないけれど)、虚の腿を紅い鮮血が伝った。
 痛そうで胸が痛んだけれど、この子を本当に自分のものにしたのだと―やっと思えた気がした。


「ああ、やっぱり血ィ出たな…痛い?」
「ん、ちょっと…奥が…って、あんなにしたのに血ィとか出るの?」

 セックスで流血した経験なんかない虚はさすがにぎょっとしたようだ。

「男の時は出なかった?乱暴にされたら切れたりするだろ?」
「慣れるまではアーロニーロとしかしてないし…最初も血とかは出なかったと思う…」
「へー、結構ヤサシクされたんだな」
「アーロニーロはやさしかったよ。いちごほどじゃないけど…」
「…」
「あ、もう…!昔の話するとすぐ反応す、んだから…!!」

 敏感な粘膜はそこの変化が伝わりすぎるくらい伝わるらしく―虚の口からは甘い声が漏れた。


「…?でもこんだけ念入りにしたのに切れたのかな?やっぱこのカラダが処女だから入口小さすぎるとか…」
「あー、そっちじゃなくて、血が出たのは俺が膜を破ったから…」
「?…さっき言ってたのそれのこと?」
「そう、女の子にはそういうのがあるの…はじめて男が入った時に失くしちゃうものが…。まぁ血なんか出ないこともあるけど…おまえの場合は、さすがに今日女の子になったばっかりだから仕方ないな…」

 確かに、女の子になったばかりのこの子を抱いてしまうのは背徳感もあったけれど。でも、それ以上に一刻も早く自分のものにしたかったから。


「ふーん…っていうか変な言い方すんなよ…!俺は女じゃないし…」
「でも男でもないんだろ?」
「うるさい!どっちかって言えば男だよ!!今までずっとそうだったんだから!!」

 昔よりずっと生意気になった口唇が止まらなくなりそうだったので、思いっきり口付けて―更にしばらく静止していたそれを奥まで突き進めてしまう。
 深く入れていくとかなり感じるようで、虚はぎゅっとしがみついた背中に爪を立てた。もちろん引き千切られるくらいの勢いで締め付けられて一瞬たりとも気が抜けない。


「いきなりそんな締めんなって…」
「んッ―だって…」
「だって?」
「すご…い………いちご…」
「まだ動いてもないけど…そんなにイイの?」
「ん…やっぱ女ってすご…あぁッ」
「だから、女っていうかおまえがスゴいんだよ」
「そんッ…インランみたいに言わないで」
「淫乱ちがくて、感じやすいんだってば」

 非常に不満そうな口唇を何度も塞いで―締められることは覚悟の上でさらに奥へと進む。


「ほら、男と違って終点があるだろ?この奥におまえの子宮が…子供がいるのはそこ。」
「も、もしかして恥ずかしいコト言って俺をよがらせようとしてる?」
「チガウよ、教えてるんだよ。…それに別に恥ずかしいこととか言わなくたって、今のおまえをよがらせることなんか簡単…」
「ひゃッ―」

 ほうら、と腰をゆっくり上下に動かしてやると虚は悲鳴のような声を上げた。
 まぁこちらだって余裕があるわけじゃなくて―元々自分よりちょっと高かった声が女の子になってますます高く(ついでに甘く)なったので―この子が啼く声を聞いているだけで限界な感じではある。


「…後ろ要らない?」
「ひつこいよ、ヘンタイ!!」
「昨日までそっちでシてたのに変態はないだろ。物足りないんじゃないかって言ってやってんのに」
「ん…ここだけで十分…」

 虚は甘い声で背中に回した腕に力を込めた。


「…だから、一緒にイこ…?」
「…!」

 こういう関係になってからずっとこうやって身体を重ねてきたけれど―こんなことをこの子の方から言われたのは多分これが初めてじゃないかと思う。


「うん…」

 恐ろしく薄くて小さいカラダを壊さない程度に抱き締めて―虚の耳元で返事をした。







091006UP


ブラウザバックプリーズ