X Day




「俺、踏み切りが怖いんですよ」

少年の唐突な語りは今に始まったことではない。
最も、少年と一緒にいる時自分は殆ど喋らないので、いつでも彼がひとりで喋っているようなものだが。



「…」
「電車、凄く速いから」
「…遮断機があるだろう。中に入ろうとさえしなければ轢かれることは無い」

榊が真面目に答えると、恋人というには余りにも幼い、彼の教え子は小さく笑って言った。


「…だから怖いんですよ」

「…?」

「…時々、入ってしまいたくなるんです」

「…」

「子供の頃からずっとそうだった」
この少年がこんなにも刹那的なその理由を榊は知らない。
聞けば教えてくれるのかも知れなかったけれどそうしようとは思わなかった。


…ただ。

この幼い少年の心に、益々暗い影を落としているのは自分なのではないかと思うことがある。



カンカンカンカン…
自分たちの会話を聞いていたかのように遮断機が下りてくる。



「…榊さん」

「もし俺があの中に入ったら」

「背中を押して下さいね」



「…アナタにとどめを刺されたい」




「…」

榊が黙っていると少年はふわふわと微笑んだ。



「…冗談ですよ」


「…だって」



「その時は連れて行きますから」




ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「嫌がっても離さない」

少年は軽く榊の手を取った。

「…逃げないでしょ?榊さん」

「…」

「俺はアナタが逃げないの判ってて アナタを連れて行くんです」



背後を高速で通り過ぎる電車の音で、最後の方は良く聞き取れなかった。
…それなのに。

電車の音が酷く遠くに聴こえる矛盾。
穏やかな微笑みを浮かべる少年。
自分の足が軽く震えるのが判った。




怖いの?
逃げたいの?


それとも。




     ―‥嬉しいの‥―?



「…先のことは知らん」
自分の手を握る少年の手をほんの少し握り返す。
目敏い少年はそれに気付いて、榊の指に軽く口付けると榊の身体を引き寄せた。




「…榊さん 俺がヘンタイなの知ってるんでしょ」

「…」

「俺がいつも、アナタをどうしたいと思ってるのか知ってるんでしょ」

「…」

「…期待しますよ?」

「…」

「…本当に連れて行きますよ?」




例えば俺は猛獣みたいなもので

アナタの四肢を喰いちぎって切り裂いて息の根を止めて

全部全部全部俺だけのものにしたいのを必死でこらえているんです





「早く突き飛ばしてください…」


か細い少年の声が耳元に響く。
榊は少年の背中に手を回した。


「…したいならやればいい」

「…嫌です」

少年は即答した。




「…アナタがいないと生きていけない」




苦しげな少年の声に何も答えることが出来なくて 榊は少年の背中の服を握り締めた。


「好きなんです。愛してるんです。アナタじゃないと駄目なんです」


今まで何度も何度も何度も、嫌だと言っても聞かされた愛の言葉。
聞かされるたびに今まで体験したこともない感情が榊を貫いて眩暈がした。







「…バカだな」





―本当は。

きつく抱きしめられると、この腕の中で息絶えても構わないとすら思うのだけれど。









でも。


伸ばせるものなら伸ばしてしまいたいから黙っている。

その日が来るのを。












チョタサカってクリスマス心中ってかんじ(超真顔)
つかクリスマス心中っていうマンガあったよね?内容ぜんぜん覚えて無いけど…
まぁU雀さんも言ってるとおり、榊太郎(43)はチョタのエンジェルですから。(きっぱ)
彼はちょっと目がオカシイようですね(おかしいのは貴様らの頭だよ!)
まぁチョタサカは壊したい壊したい壊したいでもアナタが大切なんです榊さん
…みたいなのがひたすらテイストなので。(きっぱり)
ああもう本気で興奮する‥心臓止まりそう(死ね)
つか高速バスの時間に間に合わない勢いでソッコー書いた小説なので勢いしかありませんね(きっぱ)
まぁ
チョタ=子猫を助け車に轢かれる

はオフィシャルだと発覚したのでもう何も言いません。
つか20.5巻はあまりにもウチらの思い描いていたチョタサカがそのままの形で載ってて、私は死にました。(生きてる)
12月23日が私の命日です。
まぁチョタの目には子猫が榊太郎(43)に見えてるんですけどね(どきっぱり)
とりあえずとんでもないことだけは確かですね。(きっぱ)


□追記
04年のクリスマスすぎに書いたのを覚えているw
あの時はチョタサカフィーバーだったなぁw
しかし電車の音で聞こえないシーンと言えばこどものおもちゃを思い出すよw(多分2巻)(たぶん)
とりあえずおまいは少しもちつけと言いたいw
061008


ブラウザバックプリーズ