11:あしたが来る瞬間 こちらに来るのは大抵自分の肉体が寝付いた頃だから、いつもだいたい日付の変わる頃だった。 もっとも自分の一部であるこの子とは目の前にいなくたってお互いしようと思えば会話は出来るし、むしろこの子が呼ぶならいつでも飛んで行くのに気を使っているのか未だに呼ばれたことはない。というかこっちから呼んでも返事がないことだってある。 『だって昼間は寝てること多いし…。あ、心配しなくても戦う時は嫌でも目ェ覚めるから』 いつか訊いたら、どうでもいいとばかりにそう言っていた。 確かにこの子は眠るのが好きなのか、昼間に限らず自分が会いにやって来た時でも3回中1回は寝ている。―野生の動物みたいな子だから判らないでもないのだけど。 とにかく、一緒にいるのは夜間が多い。つまり食事をするのも身体を繋ぐのも入浴するのも抱いて眠るのも家の中や庭のベッドで―考えてみたら外で何かするとかいうことはあまりない―実戦訓練(?)とかはたまにするけれど恋人らしいこと―‥例えばデートとか。 怪我をしていた時は四六時中一緒にいたからセックスに飽きたら外を散歩したりもしたけれど、それ以降はなかなかそんな機会もない。 「今日はさ、ちょっとデートしない?」 「…」 起こして早々にそう言ったら、虚はあからさまに眠そうな目を擦って―エッチしないんなら寝ててもいい?とヒドイ返事をした。 「ひどいやつだな、幾らなんでもそれはないだろ」 「だって、デートっつったってここデートするようなところないよ〜」 確かに虚の言う通りだ。室内でばかり過ごしているのはそれもある。けれど…だって自分たちは同一人物だから、こっちの世界でしか一緒にいられない。 死神みたいに肉体から出たところで、2人同時に出られるわけじゃない。 つまりたまにこの子を外に出したって、この子と一緒にいられるのは自分ではない誰かで―つまりまぁそんなことを許しているのは恋次しかいないわけで、外に出ると必然的に恋次とデートしているわけだ。―いつもいつも。 「…恋次ばっかじゃなくて、たまには俺ともデートしろよ」 そう言ったら虚はちょっと笑った。 「それって嫉妬?」 「当たり前だろ」 「…わかったよ、デートしよ?―でも抱っこはイヤ。」 女の子のように抱えられることが未だに気にいらないらしい虚はそう条件をつけてベッドからぴょんと飛び降りた。 「…抱っこしないと瞬歩が使えないんだけど。」 「…別に使えなくないだろ」 「並んで瞬歩なんか使ったらデートっぽくないだろ!どっか戦いに行くみたいだろ!」 「じゃあさぁ、俺がいちごを抱っこすれば話が早くない?」 「バ、バカ!おまえの細腕が折れるだろ!!」 「…。」 …というわけで(抱っこは拒否されたので)手を繋いで家を出た。そういえば移動する時は抱き上げるか手を引いてやることが多かったので並んで歩いたことはあまりない。 ―自分と同じものであるはずなのに、華奢で少し体温の低い指先だ。指なんかベッドの上ではいつも絡めているのに、こうやって絡めるとまた雰囲気が違ってドキドキする。 突発的にデートを決めたのは自分なのに緊張してきて自分で呆れた。 「で、どこ行くの?」 虚はにこにこして聞いた。 「…そうだな、とりあえず街(?)の方行くか」 ふたりとも(仮にも)死神だから普通に歩いたり走ったりするよりはよっぽど早いのだが、何しろ瞬歩なしなので時間がかかる。 もちろんちょっとやそっと歩いたところで疲れたりはしないけれど、野を越え山を越え―道中野次馬虚達の見せ物になったりもした。まぁ、バカな野次馬なんかが相手でも―恋人を連れて歩いているとこのきれいな子は自分のものなんだと―そう見せ付けているようで気分がいい。 だいたいこの子は破面や十刃なんかを含めて―虚たちにとってはアイドルみたいなものなのだから見せ付けておいて損はないのだ。 「…こうゆうのがデートだったっけ?」 白い虚が首を捻りながら聞いた。 「たぶん違う。強いて言うならデートの過程?…でも俺はおまえと手を繋いで歩いてるだけで嬉しいけどな」 「いちごはエッチしか興味ないんだと思ってたけど、意外とろまんちっくだね」 「…おまえはかわいいくせにあんまりにも失礼だな」 「いーじゃん、本能的なのはいいことだよ」 「…それって幾らでもえっちなことしていいよvってこと?」 「そんなこと言ってないだろ」 「言ってるよ。だいたい戦った時もさーおまえがあんまり本能本能って言うから、本能ってのはそういうのじゃないだろ!えっちなこととかだろ!!って言ってやろうかと…」 「いちごさぁ…最中にそんなこと考えてるからいっつも血まみれになるんだよ。最初から本気出せばいいのに、いつも血まみれになってから本気になるんだもん。本能が発揮されんのが遅すぎるんだよ」 「だから、そういうのは本能じゃなくって…少なくともおまえの場合は趣味だろ?」 「…そうかも知んないけど、いちごみたいに性欲丸出しの人にそんなこと言われたくないなー」 「丸出しとか言うなよ!…少なくともそんなこと考えてるのはおまえの前だけだよv」 「丸出しじゃん!!」 「…貴様らどこへ行く?産婦人科か?」 そんな下らないことを話していると突然聞き覚えのある声が降ってきて、振り向くと木の上にウルキオラが立っていた。 「…さんふじんかなんてここにあったっけ?いちごあかちゃんできたの?恋次の子?」 白い虚はきょとんとして一護に聞いた。 「バ、バカ!嫌味だよ!つーかデキるとしたらどう考えてもおまえに決まってんだろ!!…ってそうじゃなくて!!てめぇまでなんで俺の世界をウロウロしてんだよもー!!」 「別になにも危害は加えていないのだから構わんだろう。心配しなくても貴様らのすいーとほーむには近付かん。グリムジョーのように用事もないからな」 「まぁ、あいつも特に用事があってうちに来てるわけじゃ…」 「そうだよな〜グリムジョーはおまえに会いに来てるだけだもんな〜」 「むしろいちごに会いに来てるんでしょ!」 「…。俺に見せつけに来たのか?(イラッ)」 「違うよ、今日はでぇとしてんだよ」 虚が得意げに言ったら、ウルキオラはほぉ…と言った。 「貴様らは性交にしか興味ないんだと思っていたがな。」 「う、うるせぇなおまえまで…。つか、性交とか言うな!!」 思わず恋人をいつもの調子で抱え上げると、デートの邪魔したら殺すからな!!…とかなんとか捨て台詞を吐いてその場から瞬歩で走り去った。 「もぉー。すぐ抱っこすんだから…」 「今のはしょーがねぇだろ。ホラ、すぐ下ろすから」 ウルキオラの霊圧が完全に感じられなくなるところまで逃げてからようやく下ろしてやると、案の定虚はブーブーと文句を言った。 「…ここドコだろ?」 「さぁな…でもホラ、あっちにビル街見えてるし。ああいうのがあるとわかりやすくていいな」 「そーだよね。俺だって、あそこにいればそのうちいちごが来ると思ってずっとあそこのてっぺんにいたんだもん」 「…え、そうなのか?」 「そうだよ。俺だって用事もなしにあんなところ上らねーよ」 「そうなんだ…そんなかわいいこと言われたらがまんできな…」 「デートなんだろ?デート」 虚はわざと焦らすみたいに言って、自分から一護の手を取った。あの恥ずかしがりやのこの子が、長いこと付き合っているとさすがにこのくらいのことは出来るようになったんだなぁ、と可愛く思った。 ちょっと嬉しくなって、―うん、と虚の額にキスをした。 そうしてようやくビルが立ち並ぶ街みたいなところに着いた。2、3時間くらいは歩いていたような気がしたけれど、ずっと手を繋いでイチャイチャしながら歩いてくるのは楽しかったので実際の時間ほど長くは感じられなかった。 「…で、どうすんの?」 「…とりあえず上行くか」 仮にもここは街だし入ろうと思えばもちろん建物にも入れるが、逆さまだったりイキナリ重力を無視して90度回転したりするビルの中にわざわざ入るのも面倒くさい。外側にいた方が隣のビルに飛び移れたりするので確実にラクだ。 「まったく、あんなとこ登ってなにすんだよ」 「いいから、―ほら」 小さなカラダを抱き上げてぽん、と地面を蹴るとあっという間にビルのてっぺんに着いた。ちょうど前に戦ったところに似ているビルの平らな部分だ。 「もー!結局最後は抱っこすんのかよ!」 「このくらいいいだろ、恋人なんだから」 屋上でじたばたする虚をぎゅうっと抱き締めてキスをした。 「…ところでいちご、ココで何す…っていうかまさかココでエッチしようってんじゃないよね?」 「え、そうだけど」 「なら最初っから家ですればいいのに…わざわざエッチするためだけにこんなところまで来たの?」 「そうじゃないけど。…たまには外も良くない?最初はこういうところでしてたしな」 「…そりゃ、したけど。ビルの上とか、てきとうなビルの会議室とか、そこらへんの岩の上とか、ただの草の上とかで…したけど。」 「心配しなくても、おまえが汚れたりしねぇようにちゃんと抱いててやるからさ。前もそうだっただろ?」 「そういうことじゃなくて、外じゃあ誰に見られてるかわかんないよ?」 「おまえもそういうこと気にするようになったんだな…(感動)まぁ今更だよ。たぶん家でヤろうがどこでヤろうが俺らがふたり揃ってる時点でそこらへんの破面とか斬月にはバレてるって。霊圧で。」 「そうなの!?いちご、俺のこと幾らでも騙せると思ってない?…まぁ、本当だとしてもいちごは俺のだって見せつけるぶんには悪くないけど…」 「…(どっちかって言えばおまえが俺のものなんだけどな)」 「まぁ、そんなにいちごが俺のこと抱きたいってゆうんなら…」 「いつも抱きたいよ。やってる時以外はいつもおまえを抱きたい。」 「そんな『寝てる時以外は眠い』みたいな…ちょっとは黙って聞いてろよ。とにかくやってもいいけど、外なんだからほどほどにしろよ」 「判ってるって」 ―正面から抱っこして腰紐を解いたり着物の上着を捲ったりする。汚れないように完全には脱がせない。―こういう抱き方をするとなつかしいな、と思う。 昔こういう―いわゆる座位で抱いた時はたまに愛撫したりキスしてやるくらいで完全に任せていて―この子はものすごく下手くそだったけれどむしろそういうところにこっそり興奮したりもした。 「…どっちにしろさぁ、この状態じゃあ俺が動かなきゃいけない…じゃん」 虚は上から不満げに言った。 「俺がやったらこんな固いところに寝かせることになるもんな。…でも上手になったな…昔はほんとにおまえ…」 「うるさいな!!…そりゃあ、こんだけやればイヤでも上達するだろ」 虚は怒ったように口を挟んで最後まで言わせてはくれなかった。 初めて関係を持った頃のこの子は触られるのが嫌いだったし、隠していたこともあるし、ついつい背中イタイだろうなぁ…とか考えてしまって手を出せなかった。 今でも本当はけなげに頑張るこの子を見ていると押し倒して思いっきり抱いてやりたくなるのだけれど…そういうのはベッドの上で、と思って我慢した。 「俺もちゃんと手伝ってやるよ。…ほら」 細い腰に添えた手でやらしく回してやったら虚はひゃんと声を上げた。 「…おまえは昔から、ほんとに感じやすいよな」 「うるっさいなぁ、もうそんな言葉にいちいち反応したりしないんだから!」 「こっちは反応してるよ。すごいキツいもん」 ついでに開いた着物から惜しげもなく見えている小さな桃色の突起をぺろりと舐めてやると小さなカラダはまたびくんと跳ねた。 「あっ…ほんともういちいち手ェ出さないで、…たまには好きにやらせろよ」 「…じゃあ口なら出していい?愛してるよ」 「ん…だったらキスして」 「どっちだよ(笑)」 少し上にある首を引き寄せて―口唇を塞いでやると虚は満足げに首に手を回した。 さっき言った言葉は半分くらい本当で、こんなところで情事に及んでは本当に誰が見ているか判ったものじゃない。見えなくても、高まった霊圧くらいは伝わるだろう。(ちなみに家は、結界とか色々あるから大丈夫だと思う…多分) 本当は自分だってこんなところで抱くつもりじゃなかったけれど、道中野次馬やウルキオラに会ったりしたら変な独占欲が湧いてきてしょうがなくなったのだ。虚の類がここに侵入可能なのは判っているけど、よもやこの子が目当てではとか変な考えが浮かんでしまう。考えすぎだと良く言われるのだが、とにかく四六時中独占していたくてたまらないのだから仕方がない。 そんな言い訳を脳内だけでしつつ、白い虚が可愛く達する間ぎゅっと抱き締めていてやった。 「ほら、朝日だぜ。ほんとはコレを見に来たんだけどな」 「そぉなの?…いちごの話はどこまでほんとなのかわかんな…っていうかもう眠いよ」 身体を繋いだ後の白い虚は実に眠そうな目で興味ないとばかりに文句を言った。そりゃあこんな形になってしまったのだから信じてくれなくても仕方がないけど、本当はこれを見せたかったのだ。 虚は素っ裸に着物をかぶっているだけの状態なので、外だし風邪でもひいたらとか寒そうとか理由をつけて引き続きぎゅっと抱き締めたままだし―眠たくて仕方がないという顔をしているのが可愛くて耳や額にキスを落としたりした。付き合い始めた頃は終わった後までベタベタとこういうことをするとくどいと怒られたけれど、今はもう慣れたのか何も言わない。 「でも朝日ならさぁ、家でも見れない?」 「高度が違うだろ。ウチは屋根の上から見たってせいぜい5階建て。ここは50階建てのビルのいちばん上だから景色がいいんだよな」 昔も、何回か見た。この子はやるだけやったら寝てしまうので、眠っている虚を抱きながらここにも朝日が昇るんだなぁと思ったことを覚えている。それは現実で見るあの光と少しも変わらなくて―変だけど少し希望が湧いた。 堂々とこの子を抱き締めていられるのも寝ている間だけだったなぁ…とか思い出したりもするので、ビルの上から見る日の出にはちょっと思い入れがある。 「そかー‥。そういえば俺もいちごが来るのを待ってる時に何回か見たような…この時間は寝てたからあんまりちゃんとは見てないけど…」 「…そうか…ごめんな、けっこう待った?」 「そーでもないよ。俺が生まれてからけっこうすぐ来たじゃん、いちご」 一緒にいた時間の方がずっと長いよ、と虚は小さな声で言った。 「まぶし…いちごの髪とおんなじ色だね…」 虚はそう言って手を伸ばすと自分の髪に触れて目を細めた。 「おまえの髪も陽の光が透けてオレンジになってるよ」 自分も茜色になった虚の銀髪を梳いて口付けた。透けるような髪の毛が綺麗で―この子を自分の色で染めたような錯覚を覚えて嬉しくなる。 「こういうのを見るとさ…ああ今日が来たなぁっていうか、今日もがんばるぞって気になるだろ」 「?…きょうはもうとっくに来てるでしょ?夜の12時からきょうじゃなかったっけ?」 いちごが教えてくれたんでしょ、と虚は首をひねった。 「本当はそうだけどな。でも実際はやっぱり朝になんねーと今日がはじまったって気ィしねーだろ」 「ふーん…まぁ俺はどっちでもいいけど…このいちごの色はきらいじゃないな…」 「え、ほんと?」 「…なんだよ。ホントだよ。」 「いや初めて聞いたから…うれしいな」 「いちごの色はおひさまみたいで…色のない俺からしたら憧れみたいなもんだよ」 「…そう?おまえの純白も俺の憧れだけどな。きっと、ウエディングドレスとかすげー似合うだろうな」 「いきなり何の話してんだよ!!」 「おまえが俺のお嫁さんになる話だけど」 「も…もうバカ!!!」 しばらくイチャイチャと言い争いをしていたけれど、やっぱりと言うべきかそのうち虚はスヤスヤと眠ってしまった。結局抱いて家まで戻らないといけないわけだが―これなら瞬歩が使えるのですぐに戻れるだろう。 色々と新しい発見もあったことだし―この精神世界がどんなにそれに向いていない場所でも、やっぱりたまには外出するものだなぁと思った。 「…おまえにとって、今日もいい一日ですように。」 小さな声でそう呟くと、朝日に照らされて眠っている虚の口唇に自分のそれを重ねた。 |
↓必殺あとがき反転↓(読まなくてヨシ)
…お題のことを覚えていたのかよ。(そこからか)
つーかムダに長いwwwwしかもお題に沿ってないwww
お題は「あしたが来る瞬間」なのに今日の話をしているふたりwwwしかも「瞬間」じゃないww
つか書きたいのは最後らへんだけだったんだけど…そこだけ書くわけにもいかないから色々付け足してたら長くなったwwww
(文章が)すっ…すごくヘタだ!!才能がねぇ!!!(@グルグル)
しかも、確か最後のあたりでもっとなにか書きたいことがあった記憶があるんだけど、最後に辿り着くまでに時間がかかりすぎてわすれた!!←
おかげで何が書きたかったのかあんまり覚えてなくていろいろ詰め込んでみた結果何が言いたいのかよくわからない話に…
そりゃあソコを自分でも忘れてるんだからそうなるのは当たり前だな。(貴様)
でももう黒白がラブラブで愛し合ってたらなんでもいいです。(えぇーーーΣ(´∀` ))
つか可愛く達するってどういう…書きながら可愛いイき方というのを色々考えてたんだけどショタみたいなのしか思いつかなかったwww\(^q^)/
…まぁあの子なら確実にイく時もかわいいだろうと(略
ここで注意ですが、あの子はショタというよりはロリなのでそこんところよろしく。(はぁ…)
ついでになんか黒崎さんはイってないような気もするが…
でも黒崎さんはなんか自分がイかなくても相手をイかせてやれたらいいみたいなところがありそう…(オイ)
ちなみに白い子はたまーに表に出て阿散井さんとデートしたり自分ちのモデルハウス(違)を見学に行ったりしてるという無駄な設定もあるけど今後書くかは不明\(^o^)/
だって現世に出すとあの子が益々総受みたいになってしま…(そんな理由)
なるたけ総受は書きたくない( ´Д`)(ハゲシクいまさらですね←)
というかウルは(グリも)こんな先まで生きているのかすら…略。いやそれを言ったら白い子もだけど。。。←
まぁそんなことになったら私は確実に死ぬと思うがwww(…)
090801
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