その目がもう俺しか映すことが出来なくなるように。
 その指が俺にしか触れないように。
 そのカラダも声も髪の一本まで―全て俺だけのものになるように。



 考えたことがないわけじゃない。
 この世界で生まれた以上、自分にとっては王である一護が全てであるように―おまえだってそうだったらいいのにって。
 それは同じ「黒崎一護」なのに不公平だとか戦いへの渇望だとか表の世界への憧れだとか―そういうこと以上に、ただの純粋な独占欲だった。








09:まちがった二人





 頻繁に会っているとは思う。普通の恋人同士がどのくらいの頻度で会うものなのか自分は知らないけれど、少なくとも自分と一護は毎日会っているような気すらする。
 このカラダを抜け出して一護の部屋に出て行くことも可能だし(それ以外の場所には特に興味がないから行ったことないけれど)、面倒になって行かなかった日は王の方からやって来る。
 カラダを繋いで、睦言を並べ立てる甘い時間―ただそれだけのために。この自分に抱かれるために、あの王が、自分から。


 ―それでも心のどこかで思わないわけじゃない。
 こちらは王にしか触れないのに。王だけが自分の全てなのに。

 …一護もそうあるべきだって。



「…で、聞いてる?」
「…」

 はっとして一護を見ると、自分の話を聞いていなかったのだと悟った一護は不満げにちょっと眉を顰めた。


「わりぃ。何の話だったっけ」
「テメーなぁ、やることやったらボケッとしやがって…」
「悪かったって。そんな拗ねんなよ」

 ―ぎゅっと抱き締めてやると自分より高い王の体温が心地いい。こうしてやるとあからさまに機嫌が良くなる、少女みたいな王様だ。



 もともとは、これで十分に幸せだったはずだった。
 王と騎馬はこんな関係には到底なり得ないはずなのに、想い合うことが出来て、キスをして、カラダを繋いで、―こんなところで微かな明日の約束を交わすことだけでも十分に。


 いつからこんな―あの頃とは違った欲が出て、一護を独占したいとか考えるようになったんだろう。



「…テメーがなに考えてんのか知らねーけど」

 言ったそばからまた少し意識を逸らしていた自分を見て、一護はちょっと低い声で言った。


「俺はもう…テメーにならなにされてもいいんだぜ」

 は?と思って一護の顔を見ると、一護は少し頬を染めて―それでも真顔で言った。


「…何言ってんだ。いきなり」
「なにされても―殺されてもいいよ。」

 茶色の大きな瞳が、―戦っている時と同じくらい真剣に自分の目を見つめている。そんな強い視線で見られたら本当に、ついさっきまで考えていたことをすらすらと口に出してしまいそうだとぼんやり思った。
 たしかにかつて自分は本能の塊だったはずなのに、今では一護のことばかり考えて一護だけのために生きている。どちららかというと理性的なくらいだ。



「…俺がまえになにしたのか忘れたの?一護」
「おぼえてる」
「…。」
「おぼえてるよ―」

 一護は唄うように言って自分の首に腕を巻いた。―たまらなくなって夢中で口付けた。自分と一護の境界線がぼやけて、混ざり合ってしまうんじゃないかと思うくらいに。



 ―そんなに寛容に俺のことを許さないで。


 そんなことを言われたら、いつか本当に王である一護を鎖で繋いで、ここに閉じ込めてしまうかも知れない。


 もう永遠に表の世界になんか帰れないように。
 この暗い檻の中で、この自分しかその瞳に映せないように。











*


 そんな風に時折、異常に執着されていることを知っている。
 子供だと思ってバカにして、夢にも思っていないんでしょう?


 ―気付いてないとでも思っているの。


 だからおまえは知らないのだ、とても気分がいいことを。
 この翼を引き千切って、ここに繋いでおきたいというのなら幾らでも聞いてあげるのに。
 それでも本当は優しいおまえがそんなこと出来ないことも知っているから―悪魔みたいに囁いて、揺さぶって、おまえの中の本能を呼び覚ましてあげる。


 この俺の言葉がおまえの心に突き刺さるように。
 ―そのうち本気で、向こうの世界からこの俺を奪いたくなるように。


 なぁ、おまえのために俺はもうここまで堕ちて来たんだから―だから最後まで付き合ってくれよ。










↓じゃまだからあとがき反転↓(読まなくてヨシ)
白黒だったらお互いヤンデレっていうのもものすごくいいとおもいます。
白い子はもともとあんなんで病みとか無縁の子だけど、黒崎さんに手ぇ出しちゃって自分のせいで黒崎さんがだめになるとか、
自分なんかに執着されたら困るとか考えだしたら多少は病むかもしれない。
早いうちに
突き放さないといけないって思うかもしれない。
でも黒崎さんは離れる気なんかなくて離れるくらいなら連れてってって(以下省略)
わかんないフリをして揺さぶりをかける悪い受けコな黒崎さんですwww\(^o^)/←
…なんかむしろ私の方が病んできたな。(前からだよ!!!)
短いけど珍しくお題に沿ってるっぽくて(気のせいかも←)気に入ってる話ですww

それより、最初は独占欲でお仕置きプレイの白黒を書こうと思ったのに出来上がったのはこれだったという事実。←
私、多分マジラブしか書けないんだわ…( ´Д`)(今気付いたのか)

090909


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